【職人同士が仕事をシェア】スマホアプリ「助太刀」 ATMで工事代金を即日出金 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【職人同士が仕事をシェア】スマホアプリ「助太刀」 ATMで工事代金を即日出金

 助太刀(東京都渋谷区)が提供する職人マッチング・ペイメントスマートフォンアプリ『助太刀』が、建設現場の職人の間で広まっている。職種と居住地を登録するだけで応援を求める現場が紹介され、工事代金も全国のセブン銀行ATMからその日のうちに引き出せるのが特徴だ。2017年12月にサービスを開始してから10月9日時点で2万8000ユーザーを突破した。人手不足が深刻化する中、職人の仕事の安定と働き方を抜本的に変えるツールとして注目を集める。
 建設業は、元請けを頂点に各職種の下請企業を囲い込む重層下請構造だ。現場で働く2次、3次の職人の手配は電話かファクスが主流で、多くが人脈をたどって集められる。スマートフォンを媒介に職人と現場をつなぐ助太刀は、職人同士が仕事をシェアする環境をつくりだす。人材の流動化により職人の稼働を高めることで、人手不足の問題に風穴を開けた。
 開発者の我妻陽一助太刀社長は設備工事会社に監督として勤務後、1次下請企業を興し、その後助太刀を立ち上げた。建設業で15年のキャリアを持つITベンチャー経営者だ。自ら人手不足の問題を“痛み”として経験し、業界内の働き方を知り尽くすからこそ開発できたアプリといえる。
 具体的には、仕事を発注する側が職人を仲間リストに登録し、人手が必要な現場が発生すれば1日の単価、現場ごとの細かい条件を入力して募集する。仕事を求める職人は、職種と居住地を登録すると仕事が自動的にプッシュ通知で送られてくる仕組みだ。「新仲間募集カード」で新しい仲間を増やすことができる。

発注用の画面


新仲間募集カード

 職人に使いやすいよう機能は極限までそぎ落とし、文字も読みやすくするなど「使いやすさ」を追究した。マッチングの質を高めるため、メッセンジャーで会話できるほか、受発注者双方の評価システムも導入している。我妻社長は「建設業界の『Uber(ウーバー)』として機能してほしい」と期待を込める。
 特に評価されるのが、セブン・ペイメントサービス(東京都千代田区)と連携した即日受け取りサービス「助太刀Pay」の提供だ。受注した職人は仕事が終わった段階で24時間365日、アプリから工事代金を申請し、セブンイレブンなどに設置された全国2万4000台のセブン銀行ATMから即日引き出せる。「特徴は口座やキャッシュカードを使わずに引き出せること。2次、3次にいくほど支払いが数カ月先になりやすいため、即日支払いにより資金繰りを支援したい」と説明する。

工事代金の受け取り用の画面

 助太刀と提携する和田哲士セブン・ペイメントサービス社長は「キャッシュカードが不要なサービスの展開を考えていた時、助太刀のシステムを見て『間違いなくこれだ』と確信した」と話す。身内に建設業関係者が多く自身も業界に明るいこともあり、即座にアライアンスを締結。ことし5月から即日支払いサービスを開始し、今月中旬に職人がより使いやすい仕組みにリニューアルした。
 現場で使えるツールは普及が早い。助太刀も間もなくユーザー数が3万人に届く勢いだ。12月には職人の手元に商品情報を届け、実際に購入できる『助太刀ストア』を開設する予定だ。「現在は20-40代が中心だが今後は年配の層も取り込みたい」とし、21年の上場と22年の100万ユーザー獲得を目標にしている。

我妻社長(右)と和田社長

 我妻社長は「請負関係が硬直化している建設業界は、例えば千葉県に住む職人が近くに現場があるのに他県に出向くことが多く、合理的と言い難い状況にある。人手が足りていないのに仕事にあぶれる職人もいる。まずはいまある人的リソースを100%使い切ることが人手不足解消に重要だ」と指摘する。
 そして根本的な問題の解決には若者が増えることが不可欠。「建設業に魅力を感じるにはまず職人が稼げる仕組みを提供し、働き盛りの30-40代の『カッコイイ親方』を増やすことが必要だ。そこに助太刀は寄与したい」と力を込める。

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