【週休2日前提の工期を!】公共建築協が「働き方改革と生産性向上」テーマに会研究会 | 建設通信新聞Digital

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【週休2日前提の工期を!】公共建築協が「働き方改革と生産性向上」テーマに会研究会

 公共建築協会(春田浩司会長)は23日、東京都千代田区の都道府県会館で「働き方改革と生産性向上」をテーマとした2018年度公共建築研究会を開いた。約120人が参加。わが国の生産年齢人口が減少していく中で建設産業の担い手確保にもつながる働き方改革のあり方や建築分野で従前以上の生産性を生みだしていくための方策と課題などについて、さまざまな専門的角度から考察を深めた。
 藤田伊織副会長のあいさつに続いて、蟹澤宏剛芝浦工大教授が「公共工事における働き方改革と生産性向上」、国土交通省土地・建設産業局建設業課の平林剛建設業政策企画官が「建設業の働き方改革の実現に向けて」、日本建築士会連合会の「総合図作成のためのガイドライン」編集部会長を務めた嘉納成男早大名誉教授が「設計と施工を繋ぐ『総合図作成ガイドライン』-建築の品質向上と業務の効率化を目指して-」、コクヨクリエイティブセンター主幹研究員でWORKSIGHT編集長の山下正太郎氏が「働き方改革とオフィス改革-グローバルトレンドを中心に-」と題してそれぞれ講演した。
 この中で、蟹澤氏は国勢調査での推移を踏まえた建設職人数の将来推計値として、「どう楽観的に見ても35年までに50万人以上減少し、60年ごろには半減する。熟練技能職の代表格である型枠も含む大工に至っては35年までに半減し、45年には3分の1にまで減ってしまう」と指摘した上で、「建設産業にどうやって人を呼び込むか。それには働き方改革は必須だ」と強調。
 特に「休日が増えると職人は稼ぎが減るというパラドックスは労働基準法の精神に反するナンセンスなもの」であり、「週休2日を前提に工期を設定する必要がある。なにより工期のダンピングを許してはならない」と断じた。
 その上で「突貫工事を求められたら割増料金、特急料金が提示できるようにならないと働き方改革は実現しない。いままでは現場で働く人の休みを犠牲にしたブラックな働き方だったのだということを公共発注者やエンドユーザーである国民に訴え理解を得ていく必要がある」と論じた。
 また、生産性向上については「細分化しすぎた作業をうまくまとめていくことで効率化できる。特に仕上げ系や設備に大きな改善の余地がある」として、多様な形態での多能工を養成していく必要を説くとともに、ステップアップ教育の重要性を強調した。
 さらに時給1万円の職種もある米国の公共工事現場での協定賃金も紹介し、「なぜこれほど高い時給が成立するのか。それは能力評価制度があり、一人前の職人の賃金が明確だからだ」とした上で、モデル現場での限定運用がスタートした建設キャリアアップシステムや、専門工事企業の施工能力の見える化などの取り組みに期待を寄せた。

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