【丸紅・ログログ】合弁会社設立へ 建材BIMオブジェクトのデファクトスタンダード目指す | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【丸紅・ログログ】合弁会社設立へ 建材BIMオブジェクトのデファクトスタンダード目指す

 丸紅とログログ(東京都港区、香月創星代表取締役)が、『Arch-LOG』(アーク・ログ)を運営する合弁会社を 6月をめどに立ち上げる。建材メーカーの製品をBIMオブジェクト化して登録し、利用者が建材製品を検索して設計図面に載せるとリアルタイムで 3次元完成予想CGを制作できるシステムで、丸紅の庄司大吾不動産開発事業部開発事業第一課長は「(建築建材のBIMオブジェクト分野で)短期間でデファクトスタンダードを取りたい」と意気込む。今後の戦略と展開を聞いた。 3次元可視化事業を展開するルミノバジャパンの子会社・ログログが運営するアーク・ログは、BIMオブジェクトの総合検索プラットフォームだ。検索画面でメーカー名や製品名、建材の種類などさまざまなキーワードで建材を検索すれば、建材のBIMオブジェクトが表示され、無料でダウンロードできる。表示された建材をクリックすると、製品写真とともにカタログに記載されている詳細な製品情報が表示され、そこからカタログ・サンプルをメーカーにリクエストできる。ユーザーアカウントを登録すれば、プロジェクトを登録でき、案件ごとの使用建材管理に使えるほか、建材サンプルを掲載したマテリアルボードも作成できる。建材メーカーが製品を廃盤にすれば、その情報が反映され、常に最新のカタログ製品を検索できる。将来的には、建材EC事業の展開も視野に入れる。香月代表取締役は「建材の新しいプラットフォームとして展開している」と説明する。

アーク・ログで建材を検索して図面に載せると、製品データを反映した高精細3次元CGを制作できる

 丸紅との合弁会社では、このシステムにBIMソフトの「Revit」「ARCHICAD」「SketchUP」とBIMを起動させながらアーク・ログで検索などの機能を利用できるアーク・ログプラグイン、高精細なレンダリングを実現するレンダープラグインの2種類を無償利用できるようにする。
 アーク・ログで検索した建材のBIMオブジェクトを設計図面に載せれば、高精細な3次元完成予想CGを数秒で制作できる。通常、3次元の設計図や建材のBIMオブジェクトを動かそうとすると、非常にデータ容量が大きく重くなるため利便性が悪いものの、「レンダリングに必要な部分だけをクラウド上に上げるようにしている」(同)ため、直感的に建材を図面に載せ替えたり、比較検討できる。建材データに照明の照度や建材の輝度などカタログベースの製品情報が入っているため、実際の製品の機能を反映し、物理的にも正確なCGが制作可能だ。「これまで100時間かかっていたレンダリング作業が5分でできる。パース制作の経費もミニマムに抑えられる」(同)。図面に建材を載せた3次元CGは、スマートフォンなどでもリアルタイムにブラウザ上で共有でき、複数人が画面に指摘事項などを書き込みながら作業可能だ。クラウドには詳細な設計図面が上がらないため、「メーカーの知的財産と設計者のデザインが、セキュアな形で保護できる」(同)という。
 こうしたシステムを無料でユーザーに提供する理由こそが、「丸紅と新会社を立ち上げるポイント」(同)であり、デファクトスタンダード獲得に向けた重要な戦略だ。システムを利用者に有益なものとするためには、多くのメーカーの多くの製品が掲載されていなければならない。だが、メーカー側はユーザーが少なければ掲載する価値を感じない。いわば「鶏と卵の関係」(庄司課長)にある。そこで、メーカーの商品登録に狙いを定めた。
 メーカーが掲載するための最も高いハードルは、高精細なBIMオブジェクトの制作に時間と資金が必要になる点だ。そこで、丸紅の資金を生かして、スタート段階ではメーカーのBIMオブジェクト制作に対してキャンペーンを展開し、一気に掲載メーカー・製品数を増やす戦略を立てる。単に掲載するだけでなく、「メーカーは誰がいつ、どう使うかが気になる」ため、「ソリューションとして、メーカーの商品が介在する形でメーカーと利用者をつなげるよう取り組んでいる。ウィン・ウィンの関係でBIM推進に寄与できれば」語る。
 BIMオブジェクトの分野で丸紅・ログログ連合の攻勢が始まった。

左からルミノバの中山幹夫営業部長、中川貴幸取締役営業担当、ログログの香月代表取締役、丸紅の田邊康弘不動産開発事業部開発事業第二課、庄司課長

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