【六本木ヒルズ】来街者数は6億人! 開業15周年を迎えるタウンマネジメントの先駆け | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【六本木ヒルズ】来街者数は6億人! 開業15周年を迎えるタウンマネジメントの先駆け

2003年の開業以来、東京の魅力向上に貢献してきた

 六本木ヒルズ(東京都港区)が25日、開業15周年を迎える。都心最大級の再開発事業で、アークヒルズに続き森ビルの存在感を強烈に印象付けたプロジェクトでもある。現在ではそう珍しくなくなったが、オフィスや商業、住宅、文化機能などの複合開発、そして完成後のタウンマネジメントといった取り組みの先駆けでもあった。
 六本木ヒルズ周辺はかつて、木造密集市街地で防災上の課題を抱えていたことから再開発構想が持ち上がった。「六本木六丁目」のエリア名から当時、関係者の間では「六六(ろくろく)開発」との呼称が定着していた。
 バブル経済の崩壊など経済社会情勢の大きな波を越え、約17年の歳月をかけて六本木ヒルズはようやく完成した。2003年4月の開業を目前に当時のロシアのエリツィン大統領が視察に訪れたほか、オープニングセレモニーには小泉純一郎首相、扇千景国土交通相、石原慎太郎東京都知事らが参加するなど、国内外から視線を集めた。
 時間をかけて地権者と粘り強く交渉を積み重ねていくのが同社特有の開発手法だが、再開発施設の完成後も粘り強くエリアの魅力向上、ひいては東京の競争力向上を狙いとした取り組みを展開している。その効果は数字が物語る。六本木ヒルズには毎年、国内外から4000万人以上が訪れ、この15年間の来街者数は6億人に達する。
 「文化都心」を標榜して誕生した六本木ヒルズは、森タワーの上層階に美術館を配置したほか、施設内の至る所にアート作品をちりばめている。さらに、後に完成した東京ミッドタウンのサントリー美術館、黒川紀章が設計した国立新美術館と「六本木アート・トライアングル」を構成し、周辺施設とも連携してアートイベントを定期開催している。

ヒルズ・ブレックファスト

 六本木ヒルズには、知的好奇心が旺盛で感度の高い人々が集まるさまざまな仕掛けが織り込まれている。「ヒルズ・ブレックファスト」もその1つ。さまざまな分野で活躍する気鋭のゲストスピーカーを迎える“朝活”イベントで、月1回の開催は早朝にもかかわらず毎回立ち見が出る。垣根を越えた交流の場としても機能している。
 これまで、多種多様なタウンマネジメントを展開してきたが、縁の下の力持ちとなっているのが「六本木ヒルズ自治会」だ。「安全・安心」「コミュニティー」「地域貢献」の3つを柱として活動している。震災訓練から清掃活動、春まつりや盆踊り、太極拳に至るまでその活動内容は多岐にわたる。

自治会による盆踊り

 六本木ヒルズは近年、次世代型の都市に関する研究の舞台にもなっている。5年前に立ち上げた「イノベーティブ・シティ・フォーラム」は、都市と未来のライフスタイルを議論する国際会議で、継続的に開催している。このほか、米国マサチューセッツ工科大学の「MITメディアラボ」との共同研究、AI(人工知能)など先端テクノロジーの実証実験にも取り組む。
 15年が経過して成熟期に入った六本木ヒルズ。これから、どんな未来を思い描くのか。

GINZA SIXは1周年

 銀座エリア最大級の複合商業施設として誕生した「GINZA SIX」は、20日に開業1周年を迎えた。この施設にも、森ビルの思想やノウハウが随所に織り込まれている。

開業1周年の「GINZA SIX」

 地下には日本の伝統文化を発信する能楽堂、屋上には4000㎡の庭園を整備。テナントとして地方で活躍する個性的な店舗を積極的に呼び込むなど、「地方創生」にも貢献している。
 同時に銀座エリアが抱える課題の解決策も盛り込んだ。観光客向けにバスの乗降所や案内所を設けたほか、地下の能楽堂は災害時などに一時滞在スペースとして活用する。
 20年東京オリンピック・パラリンピックやその後に向け、銀座の魅力だけでなく「東京の磁力」を世界に向けてアピールする方針だ。

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