【LIXILギャラリー】隈氏、森永氏、山口氏によるコラボ展 意味を超えた体験づくり 9/24まで | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【LIXILギャラリー】隈氏、森永氏、山口氏によるコラボ展 意味を超えた体験づくり 9/24まで

 建築家の隈研吾氏、ミュージシャンの山口一郎氏(NF/サカナクション)、デザイナーの森永邦彦氏(ANREALAGE)の3人による「more than reason」展が、東京・京橋のLIXILギャラリーで開かれている。LIXILギャラリーの企画「クリエイションの未来展」の第19回となるもので、隈氏が監修した。会場には、頭が天井に溶け込むように建築と一体となっているドレス姿の女性像2点が展示されている。その空間に3人で分担して上中下の句を考えた俳句のリズム(音楽)が流れる。タイトルの「意味を超えた」体験づくりが目的だ。3人のコラボレーションは初めてで、今後も2弾、3弾と続けていく。

作品のドレスの女性像。この空間に俳句をイメージしたリズム(音楽)が流れる

 展覧会のレセプションで隈氏は、「建築には意味や形態などがあるが、山口さんとの対談で切り刻むようなリズムがあっての物質(建築)なのではないかと、意味を超えることに気付かされた」と企画の動機を述べた。山口氏もこのきっかけについて「隈さんとの対談で歌詞をつくるのに何を悩んでいるかという話になり、ぼくはリズムが歌詞の意味を上回る瞬間を待っていて、リズムが美しければ言葉の新しい意味がついてくるのではないかということを話した」という。山口氏は企画展でリズム創作に俳句を活用することも提案した。

レセプションでコンセプトなどを説明する出展者。左から隈氏、森永氏、山口氏

 森永氏は「洋服と建築には共通項があって、洋服をスケールアップしていくと空間的にもなる。展示では空間として使われている素材を洋服にしたり、洋服の構造を建築にすることにトライさせていただいた」と述べる。
 3人でのコラボレーションについて山口氏は、「建築は空間に与える影響力があると思うが、音楽というものも空間に影響を与える。今回の展示で、音楽と建築は違うものではあるけれども影響を与えるという意味で共通していて、すごく勉強させてもらったし楽しかった。混ざり合わないものが混ざったときの違和感は建築、ファッション、音楽それぞれの分野で(吸収され)成立すると思った」と話す。言葉にできないある種のリズムが展示空間に流れているのでそれぞれで感じ取ってほしいとも述べた。
 森永氏は「建築と洋服(ファッション)は近い部分もある一方で、交わらない業界ではあると思うが、この展示でシームレスにグラデーションにつながったかなという印象がある」と語った。
 隈氏は「いままで自分がやらなかったところに自分を連れて行ってくれる気がしておもしろい。人間というのは年齢を重ねると、変わらなければと思う。意識的に変わろうとしなければ、煮詰まってしまうので意識しておもしろいことをやっていくように考えている。山口さんも森永さんも一つの世界でとどまるような人ではなくて、いろんなことを考えている。企画展は、直感的にこの2人でと思った」と述べた。
 会期は9月24日まで。午前10時-午後6時。入場無料。

クリエイションの未来展

 2014年から日本の建築・美術界をけん引する4人のクリエイター、清水敏男氏(アートディレクター)、宮田亮平氏(金工作家)、伊東豊雄氏(建築家)、隈研吾氏(建築家)を監修者に迎えて、3カ月ごとの会期で独自のテーマで企画する展覧会

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