【都市ビジョン・第1回】完成予想図なき"理想の都市"を目撃せよ! 「会田誠展 GROUND NO PLAN」2/24まで | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

公式ブログ

【都市ビジョン・第1回】完成予想図なき“理想の都市”を目撃せよ! 「会田誠展 GROUND NO PLAN」2/24まで

展示空間を案内する会田氏

 大林財団(理事長・大林剛郎大林組会長)は、新たな助成プログラム「都市ヴィジョン」の第1回として、東京都港区の青山クリスタルビルで「会田誠展 GROUND NO PLAN」を開いている。同プログラムは都市の専門家ではない国内外のアーティストに、都市の在り方を自由に提言してもらおうという試みだ。
 初の助成対象者に選ばれた会田誠氏は、多様なジャンルで現代の日本社会を鮮烈に批評し続けているアーティストとして知られる。今回は、「快適なスラム」「セカンドフロアリズム」といった独自のテーマで都市の在り方をとらえ、ドローイング、絵画、模型、映像、膨大なテキストなどを使って表現、刺激的な内容になっている。
 都市ビジョンプログラムは豊かで自由な発想を持ち、都市の在り方に強い関心のある国内外のアーティストを選定し、都市の問題、住んでみたい理想の都市などを提言してもらおうというもの。2年に1度開催する。内覧会で大林理事長は「都市の問題を考え、答えを出してくれるアーティストとして会田さんに登場していただいた。訪れるみなさんも一緒に都市のあり方を考えてもらいたい」とあいさつした。
 会田氏は2001年、「新宿御苑大改造計画」を発表し都市にもコミットしており、「世界一濃度の濃いビオトープをめざす」ことやコンクリート、アスファルトのマテリアル禁止などをうたって話題を呼んだ。今回も5人の選考委員がそのラジカルさを評価し満場一致で選出した。
 展示は地下1、2階を使い、地下1階には模型や完成予想図などオーソドックスなものが並ぶ。その中には東京湾アクアラインの「風の塔」の「ちくわ女」への改良案、「NEO出島」のジオラマなどユニークな発想も目を引く。
 一方で地下2階には本人が「カオス空間」というように、「セカンドフロアリズム宣言」「◯×半島無人化計画」「快適なスラム」「ネクタイビル」「発展途上国から始めよう」など、パンフレットのステートメントにある「ツッコミどころ満載!乞う御批判!」の「宝庫」だ。
 会田氏はあいさつで「展覧会の趣旨に理想の都市を提案とあるが、今回はそれはしていない」などと述べる。完成予想図はつくってはいけないものと思っていて理想の都市を考えることからはずれているからだ。「セカンドフロアリズム」は、素人でも建てられる2階建てまでにしようという提案。自身も2階までしか住んだことがないという。「発展途上国から始めよう」では、「裸一貫から始める方が良い」とし、「快適なスラム」では、「快適なバラックこそ理想ではないか」などと語る。
 ツイッターでは「わずか2週間ですが、死に物狂いで作ってますので、ぜ…ぜひ…!」とつぶやいている。空間に身を置くだけで、会田氏の思いがダイレクトに伝わってくる。
 入場無料。24日まで。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら