【エアと音で鳥害防止】竹中工務店 生物に優しい防鳥設備を開発 避雷導体として兼用可 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【エアと音で鳥害防止】竹中工務店 生物に優しい防鳥設備を開発 避雷導体として兼用可

 竹中工務店は、ハトによる糞害やカラスの建材(シーリング材、シート防水、耐火被覆)への破壊行為といった建物に対する「鳥害」対策として、エア吹き出し式の防鳥設備「TORINIX(トリニックス)」を開発した。従来型の防鳥設備で課題となっていた建物の意匠性に配慮している点が特徴。工場やオフィスビル、商業施設など幅広い展開を見込む。

TORINIX設置後

 TORINIXは、ハトやカラスが休息場所として飛来するケースが多い建物の屋上(外周部)に設置する防鳥設備。避雷導体としても利用できる断面積(70平方mm以上)が確保された配管を利用して取り付ける。
 センサーで対象となるハトやカラスの飛来を検知。配管に一定の間隔(20cm間隔)で設けられた微細な穴から吹き出すエアと、音によってハトやカラスの建物への定着を防ぐ仕組みとなる。
 配管に分岐端子などを設けることで避雷導体としても兼用が可能。防鳥と避雷導体の両者の機能を同時に満たすことができる。
 同社は近年、SDGs(持続可能な開発目標)に関連して都市における生物多様性が求められている点に着目。鳥の着地を防ぐ剣山状の防鳥設備であるスパイクなど、既存設備の多くが薬剤や鋭利な器具によって鳥を傷つけるリスクをはらんでいる一方で、鳥への外傷がない生物に優しい技術として開発した。
 屋上の外周部に密着して取り付ける(建物を見上げた時に視界に入らない)ことから、建物の意匠性を損なうといった既存設備における課題も解消。防鳥としての機能だけでなく、建物の意匠性を両立させている点も特徴となっている。
 1年半にも及ぶ実証モニタリングの結果、ハトやカラスの飛来を検知したケースでの100%の忌避に成功。設置1年目との比較でも2年目にハト・カラスの平均飛来頻度が約75%も減少するなど、ハト・カラスの設備への慣れによる忌避効果の低減はみられないことが確認されているという。
 TORINIXは、11-13日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれる食品工場の設備改善・省エネ・生産性向上の展示会『フードファクトリー2019』で同社の防虫・防鳥エンジニアリング技術の1つとして展示・紹介される予定となっている。

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