【建築士会連合会青年委】地域別活動内容を発表 最優秀賞に高知県建築士会 文化継承を高く評価 | 建設通信新聞Digital

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【建築士会連合会青年委】地域別活動内容を発表 最優秀賞に高知県建築士会 文化継承を高く評価

 日本建築士会連合会(三井所清典会長)の青年委員会は、9月21日に北海道函館市の函館アリーナで地域実践活動発表会を開いた。各ブロックの代表が活動内容をプレゼンテーションし、最優秀賞には高知県建築士会の「土佐幕末の芝居絵屏風・絵金文化の継承」、優秀賞には長崎県建築士会の「平和と歴史を語り継ぐまち」が選ばれた。最優秀賞は、建築士会と学生、地元職人で町家を再生活用しながら、文化を継承している点などが高く評価された。発表者の北山めぐみ氏は「高知の良さをどう広げていくかを考えている。その地域にしかない文化を残すことが地域の生き残りには大事になる」と文化を生かした地域活性化への貢献に決意を新たにした。

満員となった会場は熱気に包まれた

 発表会は函館市で開かれた第62回建築士会全国大会北海道大会の青年委員会セッションとして開かれた。全国47単位士会の活動の中から各ブロック青年建築士が推薦する秀逸な活動事例を7分間のプレゼンテーションで紹介して日ごろの活動内容を共有し、活動のさらなる発展、波及、研さん、相互理解の可能性を探った。

各ブロックのテーブルディスカッション

 冒頭、青年委員会の小野澤裕子委員は、「全国で取り組んでいる活動を知り、何かをつかんでほしい。ことしは大会主管の北海道建築士会の厚意により、例年より1時間長い3時間の枠をいただいた。このセッションが皆さんにとって有意義な時間になればと思っている」とあいさつした。
 最優秀賞に輝いた「土佐幕末の芝居絵屏風・絵金文化の継承」は、かつて娯楽、魔除けとして神社の境内などに飾られ、人びとに親しまれてきた弘瀬金蔵(通称・絵金)による芝居絵屏風を核としたまちづくりに取り組んできた香南市赤岡町で、絵金文化を継承するための取り組みが評価された。
 老朽化に伴う町家の取り壊しなど、絵金を飾る場の保全・活用が課題となっていることから、14年11月に「絵金のまち・赤岡町家再生活用プロジェクト」を立ち上げ、赤れんが商家の修繕ワークショップやコミュニティカフェ、演劇などを開催。地域文化継承のためには住民が主体となることが望ましいことから、17年5月には地域住民が運営を担う「すてきなまち・赤岡プロジェクト」として再スタートした。
 持続的な建物の活用とともに、屏風絵を飾ることができる町家の保存・活用も重要なミッションであることから、事業計画を検討し、新たな町家の保全活動にも取り組み始めている。

川嶋委員長から最優秀賞(右)と優秀賞の発表者に賞状が手渡された

 優秀賞の「平和と歴史を語り継ぐまち」は、平和公園地区の活性化を目的とした活動で、地元商店主、自治会、長崎県士会が中心となってまちのコンセプトをつくり、まちなみの形成や周辺道路・公園の整備などに取り組んでいる。
 活動は、まちなみ整備による、まちの活性化を目的とした地元商店主と建築士会の継続的な勉強会の開催からスタートした。長崎県建築士会が長崎市景観整備機構として、長崎市より「平和公園地区ワークショップ運営等業務」を受託し、市民参加型ワークショップの開催などを通じて、地域の課題を抽出し、コンセプトの策定、天主公園通りまちなみ形成、周辺道路整備のデザインなどを提案。現在は、天主公園整備基本設計・実施設計について市、大学、地元との調整を進めている。建築士会と行政、市民の協働によるまちづくり活動が高い評価を受けた。
 連合青年委員会賞には、京都府建築士会の「KAR~Kyoto Archi Rally~」が選ばれた。全国共通の課題である建築士会員の減少が京都府でも起こっていることから、スマートフォンのアプリを使い、美術館をテーマとしたスタンプラリーを実施することで、主に学生の建築に対する興味を喚起するとともに、建築士会の活動を周知して会員増強へとつなげる取り組みが高評価を得た。
 奨励賞には、京都府建築士会、静岡県建築士会の「建築フェスタ」、北海道建築士会の「青年建築士の集いin厚真町」、埼玉建築士会の「くむんだーで『やま』と『まち』をつなぐんだー」、岩手県建築士会の、「大澤家住宅保存活用に向けた調査事業」が選ばれた。
 各賞の受賞者には、川嶋和之青年委員長(滋賀県建築士会)から賞状などが手渡された。川嶋委員長は全体講評で、「例年以上に有意義な時間になった。京都の取り組みは新しいと感じた。みなさんの活動が建築士会を盛り上げることにつながる」と、さらなる活動の活発化に期待を込めた。最優秀賞、優秀賞は大会式典でも表彰された。

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