【バイオプラスチック原料】新規化学物質リグノフェノールの抽出・製造研究施設が完成 清水建設ら | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【バイオプラスチック原料】新規化学物質リグノフェノールの抽出・製造研究施設が完成 清水建設ら

 清水建設が、藤井基礎設計事務所(松江市、藤井俊逸社長)、神鋼環境ソリューション、神鋼商事と共同で島根県隠岐の島町に建設を進めてきた木材からバイオプラスチックの原料となるリグノフェノールを抽出・製造する研究施設が完成した。4社は研究施設を活用してリグノフェノールの経済的な製造プロセスを検証するとともに用途開発に取り組み、2021年にも商用プラントの建設に着手する計画だ。
 リグノフェノールは、バイオプラスチックの原料で、三重大学の舩岡正光名誉教授が1990年代に開発した新規化学物質。多くのバイオ素材が食料資源を原料とする中で、非可食の木質資源、特に間伐材や端材、松枯れ材などの低品位材からも抽出できることが特徴。将来的には、温暖化を加速する石油由来のプラスチック原料を代替するとともに、普及により国内林業の再生、地方経済の活性化にも役立つものと期待されている。
 用途としては、自動車やOA機器などに使われる熱可塑性プラスチック、鉄道車両や電子機器などに使われる熱硬化性プラスチック、フェノール系接着剤、プラスチック発泡材などへの機能性添加剤としての使用が期待されている。これにより、プラスチックの難燃性、強度、剛性、加工性などが向上するという。
 18年4月に4社で共同研究体制を立ち上げ、製造技術の改良や用途開発を進めた結果、リグノフェノールには十分な市場性があると判断、同年10月に事業化に向けた研究施設の建設を意思決定した。
 完成した研究施設は、これまでの共同研究の成果を反映したリグノフェノールの小規模製造プラントで、生産能力は年間1t程度。4社は商用化に向けて製造プロセスの経済性を追求するとともに、リグノフェノールをサンプル出荷し市場開拓を推進する考えだ。

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