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5月18日 土曜日

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【JSCA法人化30周年】関西支部が講演会を開催 いのち輝く未来へ向けた構造デザインについて語る

 日本建築構造技術者協会(JSCA)関西支部(上田博之支部長)は11月28日、大阪市の建設交流館でJSCA法人化30周年の関西支部企画となる「EXPO70から半世紀、いのち輝く未来へ向けた構造デザイン」と題した講演会を開いた。約170人が出席し、構造設計の最新の技術や将来像など多彩な話題の講演に熱心に耳を傾けた。
 冒頭、上田支部長は「映像で見ると1970年の大阪万博では現代にはない人々の熱気を感じた。2025年大阪・関西万博ではどうなるかと興味がわく。パビリオンの建設では、構造技術者の活躍できる場があると思う」とあいさつした。

上田支部長

 講演会は、第1部の「太陽の塔の今昔」、第2部の「人類の進歩と調和 未来へ向けた構造の役割とビジョン」の2部構成で実施した。
 第1部では太陽の塔の改修に携わった昭和設計の浅野康弘東京構造設計室主席と施工で現場所長を務めた大林組大阪本店の垣内博大阪北工事事務所長が登壇した。
 浅野主席は「撤去が前提だった太陽の塔は工作物から建築物に変更する必要があり、現行の建築基準法に適合させるための補強を実施した。また、芸術性を損なわないようにするという、前提条件をいかにクリアするかも課題だった」と振り返った。耐震性能の確保では頭部、頂部、腕部、リング部、胴体部、基礎の各パーツごとの補強方法について解説した。
 垣内所長は、施工中の写真を紹介しながら工事のポイントを説明。「特に足場は中にある生命の樹や展示模型を移設せず、かつ美装できる足場にすることが求められた。狭小な作業現場でさまざまな工夫を凝らした」と苦労話を語った。
 第2部では、東大生産技術研究所の川口健一教授が70年万博以降の構造設計の変遷や未来の構造設計のあるべき姿について講演した。川口教授は「気象条件の変化やエネルギー・食料問題、都市部への人口集中問題など、社会の変化に対する対応を構造分野からアプローチしていくことが求められる時代が来ている」と語った。

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