【大成建設】横浜市の技術センターで技術開発部門発足60周年フェアを開催 2月22日まで | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【大成建設】横浜市の技術センターで技術開発部門発足60周年フェアを開催 2月22日まで

 大成建設は18日、横浜市の技術センターで、同センターの前身である技術開発部門の発足から60周年を記念する技術フェア「OPEN TECH」をスタートさせた。開催は22日までの5日間。『未来を刺激する。』をコンセプトに同社グループが培ってきた技術の成果や、大きな潮流となっているAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)関連技術など多彩なテクノロジーを展示・紹介している。
 顧客や学生などの招待者に限定した技術フェアは、これまで開発されてきた技術の数々だけでなく、職場環境の充実を目指す『TAISEI Creative Hub』の第1弾として整備した「オープンミーティングスペース」(テラス)や、新たにリニューアルした「人と空間のラボ」(ZEB実証棟)など順次、拡充を進めてきた実験施設を一挙に紹介するイベント。
 見学者にとっては、大成建設が持つ最先端の技術や、提案のベースとなっているノウハウに直接的に触れることができる貴重な機会。そうした技術・提案を生み出す同社の“価値創造力”の一端を垣間見ることができる。
 実際に「機械化施工のラボ」での建設機械の遠隔操作・自律動作のデモンストレーションや、建設用3Dプリンター「T-3DP」で製作した橋、新国立競技場などビッグプロジェクトの模型・パネルなどを幅広く展示する一方で、「未来を刺激する」というコンセプトを体現する見どころの1つとして、2030年に向けた“未来展示”も実施。

建設機械の遠隔操作デモ

 デジタルツインによって映し出す「みらいの都市」や、パーソナルモビリティーが空中を走る「みらいの交通」、人の行動をサポートする「みらいのビル」など、同社が思い描く未来の都市像や、その実現のために開発すべき技術のアイデアを紹介している。
 この技術フェアは同社が持つ最新技術の体験・見学を通じて、同社グループへの信頼を高めてもらうことが狙い。技術センターとしても、顧客から直接的にニーズをくみ取ることで今後の技術開発を加速させる絶好の機会になる。
 長島一郎執行役員技術センター長は「12年から拡充してきた実験施設と、そこでの技術開発の成果を見ていただくことが第一の目的となる」とその意義を強調。同社が力を入れる内外の技術交流の推進を象徴するオープンミーティングスペースの整備などを例に「開かれた技術センターとして顧客との交流、オープンイノベーションを進めていく」と力を込めた。

3Dプリンターで製作の部材活用 国内初“軽くて強い橋”

 大成建設は、同社が開発した建設用3Dプリンター「T-3DP(Taisei-3DPrinting)」で製作した部材に、PC鋼材を挿入・緊張して接合したプレストレストコンクリート構造の橋を完成させた。構造体としての強度実験まで行ったのは国内で初めて。柱や梁など構造躯体への適用など、今後の3Dプリンターの実用化に弾みがつく。
 建設用3Dプリンターは、引張力を作用する構造部材には適用できず、これまで意匠部材やベンチなどのオブジェの製作に用途が限定されていたが、T-3DPを用いて部材を製作する際にあらかじめPC鋼材を挿入する穴を設置。各部材を接合した後にPC鋼材の挿入・緊張によって一体化(PC構造体)させることで、鉄筋がなくても歩行者などの荷重に耐えられる橋を完成させた。
 製作した橋は、幅1.2m、高さ1.0m、長さ6.0m。合計44個のパーツ部材で構成されている。全体の剛性を保ちながらも軽量化を図る「トポロジー最適化手法」を導入して“軽くて強い橋”を構築した。
 3Dプリンターの最大のメリットは、部材ごとの型枠製作の手間など従来の型枠を使った施工法では実現が困難だった複雑な形状の部材を短時間に製作できる点だ。T-3DPを活用すれば、これらの部材を容易かつ短時間(1部材当たり2時間)で高精度に自動製作することが可能だという。 
 
 
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