竹中工務店は、建設現場で撮影した「360度写真」を整理・共有するクラウドサービスを提供している米国・シリコンバレーのスタートアップ企業「ホロビルダー社」(モスタファ・アクバリ・ホッホベルク社長)との連携に踏み出す。日本の建設業あるいは建設現場にフィットした技術開発に取り組むことで、産業全体の生産性の向上につなげることが狙い。
ホロビルダー社が提供するクラウドサービスは、360度カメラで撮影した写真と、その撮影位置を専用のアプリケーションを使って、図面にプロットして整理・共有する仕組みとなる。
特にAI(人工知能)を活用した画像認識によって、撮影した現場の状況(構成される部材の面積)をパーセンテージ化する機能を持つことから、実際の現場での工事種別の判別(工程の進捗判断)や、計画工程との比較による進捗管理の高度化に役立つ。
米国を中心に世界的に展開されているサービスだけに、現状は日本式の現場に対する適合性に課題があるが、竹中工務店との連携によって、そうした課題を解消。日本式の画像認識モデル(AI)への改良に取り組むことで、日本の建設市場にフィットした技術に見直す。
2018年4月に米国・シリコンバレーに拠点(駐在員を派遣)を構えるなど、これまで400社を超す海外のスタートアップ企業との協業を模索してきた竹中工務店にとっても、ホロビルダー社との技術開発における連携は先行事例の1つという位置付け。
例えば、ロボット・ドローンの自動巡回によって撮影した画像と同社のクラウドサービスの連携や、BIMモデルとのリンクなど、ユーザーの立場から複数の技術・ツールを有機的に“つなぐ”ことで、日本市場に適合した技術開発を促進。産業全体の生産性の底上げにつなげていく。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら