【大地震でも住み続ける】住宅全体を耐震化する「耐震ログシェルター」のリフォームとは? | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【大地震でも住み続ける】住宅全体を耐震化する「耐震ログシェルター」のリフォームとは?

 巨大地震時でも避難生活を回避し、自宅で住み続けることができる「耐震ログシェルター」によるリフォーム普及を目指して、「一般社団法人シェルター・リフォーム協会」が設立(4月1日)され、数棟で実用化が始まっている。このリフォームは、木造住宅などの1室に、既存基礎と一体化する新規基礎を構築、そこに汎用性の高いログ材(105角製材他)を横積みした耐力壁を設置し、ログと既存梁を連結してコアのシェルターをつくり、シェルター1室だけでなく建物全体の耐震性を向上させる。協会監事の井戸田秀樹名古屋工業大教授と理事の花井勉えびす建築研究所所長が共同で開発、特許申請中だ。代表理事の伊藤直子氏(伊藤直子一級建築士事務所代表)は北欧や中央アジアなどでの設計経験から自宅避難の重要性を説いている。

伊藤代表理事

花井理事

井戸田監事


 「部屋の1室が巨大な柱のようになるイメージ」と伊藤氏は述べる。これまで耐震シェルターは数多く開発されてきたが、シェルター内に人が入ることで命は守れるが、シェルター以外の部屋が倒壊してしまうなど、その後の生活維持は難しい。日本の災害時の避難所は、国際赤十字からソマリアの難民キャンプ以下と酷評されているとも指摘する。

 そこで自宅避難を可能にしたいと考えたのが「耐震ログシェルター『すみか』」だ。高齢者や病気療養中などで避難所へ移動困難な人にとっても普及が期待される。

 地産地消を重視して地元製材をログ材に使い、地元工務店の大工一人でも施工できる簡便な施工法だ。1部屋4面をログ耐力壁とすることで建物の核とし、既存建物の損傷を抑えることができる。伊藤氏が巨大な柱と話すのはこの核となる1部屋のこと。木の現し仕上げで開口部も設置できる。耐力壁はログ材間に生じる摩擦抵抗、ログ材間に配するダボによるめり込み抵抗で耐力を発揮するという。

 伊藤氏によると、この工法によるリフォームは、シェルターとしては初めて耐震補強工事の補助金を全額使うことができるようになり、自己資金100万円から建設可能で現在20都道府県で認可されているという。

 長屋構造の商店街やシャッター通りの1部屋、道の駅などにこのシェルターを使うことで建物全体の耐震化を図り、地域の身近な避難所を確保することもできると今後の見通しを話す。

木造住宅「耐震ログシェルター」による リフォーム事例 H邸

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