【記者座談会】建設産業各社が入社式/国交省と建設業4団体意見交換会 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【記者座談会】建設産業各社が入社式/国交省と建設業4団体意見交換会

A 4月1日、建設産業各社は入社式を開いたね。

B 昨年は、緊急事態宣言発令の直前で、各社とも慌てて式典を中止・延期した。突然のことでもあり、リモートで開催できた企業はほとんどなかった。それから1年、各社ともリモート対応の機器を導入し、扱い方も慣れてきた。感染防止対策の方法が分かったようで、その結果、全国の拠点で分散開催しながら本社とリモートでつなぐなど、リモートシステムを活用しながら開いたところが多かった。

C でも、座席間隔を開けたり、複数回に分けるなどしてリアルで開いた企業も多かった。やはり、同期入社同士でコミュニケーションを取ることが、その後の社員教育上も、離職防止のためにも、とても重要だということを多くの企業が認識したようだ。

D 入社訓示でも、ほとんどの企業の社長がコロナ禍について触れた。しかし、後ろ向きな捉え方ではなく、この苦境を学生時代に乗り越えた新入社員たちの精神的な強さや変化への対応力というものに期待する声が多かった。

B 今回に限らず、入社訓示で創業時の理念などを話す社長は多いけれど、ことしは特に強く感じた。コロナ禍や脱炭素、デジタルトランスフォーメーションなど、あらゆるものが変革している中で、創業の精神やものづくりの心、建設業の使命といったプリミティブな部分を再認識してほしいという社長の思いが表れたのかも知れない。

C あとはやはり、その変化への対応が求められる時代で、若い人の発想力やアイデアに期待する言葉を贈る社長は多かった。大きく時代が変化している中で、新しく社会人になるということは、将来、社会の基盤になるようなサービスや製品、工法、手法などの黎明(れいめい)期に立ち会うということであり、うらやましくもあるね。

この春も数多くの新入社員が建設産業の一員となった。写真は1日に開かれた日本工営の入社式。グループとして総勢206人がリモートを含めて参加した

◆技能者賃金、2%以上の上昇で合意

A 話は変わるけど、国土交通省と日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会による意見交換会が3月30日に開かれ、技能者の賃金を年間でおおむね2%以上の上昇を目指すことで合意した。

E 最新の公共工事設計労務単価は、新型コロナ感染症に伴う景気の停滞感から一時的な賃金抑制が起きたと判断し、前年度を下回った地域・職種別の単価を据え置きする政策的な特別措置が講じられ、前年度並みの水準が確保された。ただ、今後も賃金の抑制傾向が継続すれば、労務単価は次回改定で下落に転じかねない。今回の合意はそれを避けるための受発注者間の決意の表れといえる。

F 赤羽一嘉国交相は賃金低下がさらなる労務単価の下落を招く負のスパイラルに陥るか、逆の好循環を維持するか「分岐点にある」との見方を示した。その上で、建設業後退の主因となるダンピング(過度な安値受注)については「恥だと思ってほしい。(ダンピングをする業者は)業界から追放されるくらいの認識が必要」と言及した。この発言には正直驚いたよ。

G バブル崩壊後、公共工事の激減とデフレの長期化に直面した建設業界が熾烈(しれつ)な受注競争を勝ち抜くためにダンピングに傾倒し、存続が危ぶまれるほどの状況に陥った過去歴は業界にも深く刻まれている。それだけに元請け、下請けともダンピング根絶に対する意思は強い。

A ダンピング根絶に対して、自治体を含む発注者と建設業界が足並みをそろえられても、それだけで賃金の2%上昇が実現できるかは不透明だ。この目標を何としても成し遂げるための実効性の高い取り組みを検討する必要があるといえるね。



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