【記者座談会】どうなる来年の賀詞交歓/ウレタン断熱材が不足 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【記者座談会】どうなる来年の賀詞交歓/ウレタン断熱材が不足

A 新型コロナウイルス感染症の国内の感染者数は落ち着いてきたが、オミクロン株の発生で、先行きは不透明になっている。1月の各業界団体の賀詞交歓会はどうなるのか。

B 2021年始は中止となった日本建設業連合会など11団体の賀詞交歓会は、出席者も各団体の役員や一部の来賓に限定することが決まった。開催形式も立食ではなく、着席のようだ。このほかにも、理事のみの出席で着席形式という団体をいくつか聞いた。小規模な団体は中止が多いようだ。地方では飲食なしという団体もある。そうなると、なかなか開催する意義を見つけにくい。各社とも、顧客との小規模な会食は増えてきているが、社内での懇親会などは認めていないため、かつてのような参加者を限定しない立食形式の開催は厳しい。

C 人数限定の着席で開く団体があるのは、2022年が参院選の年ということが大いに関係しているだろう。先日の経済財政諮問会議では、歳出改革で「聖域なき徹底した見直しを推進」という文言が記載されなかった。出馬予定の候補にとっては良いアピールポイントになるだろうし、各社にとっても明るい話題の1つになりそうだ。

B 選挙もあるが、団体の会員会社にとって賀詞交歓会が貴重な意見交換の場ということもある。ある社長は、「今後の経営方針などを常日ごろから考えているが、自分だけの考えだと視野が狭くなる。やはり、どういう形でも他社の社長と意見交換する場はとても貴重だ」と話していた。

C コロナ禍の先行き不透明感が増し、工事の利益率が低下しているものの、堅調な需要やカーボンニュートラルによる成長といった前向きな話もある。明るい新年にしたいものだ。

20年1月に開催された11団体の賀詞交歓会。もはやこれほどにぎやかな賀詞交歓会を目にすることはないかもしれない

元請団体に窮状訴え

A ところで、海外からの原材料供給が事実上停止していることで、全国各地の吹付ウレタン断熱工事に遅れが出始めているみたいだね。

D 吹付ウレタンの原液を精製する上で不可欠なノンフロンの発泡剤「HFO(ハイドロフルオロオレフィン)」を製造する米国メーカーの工場がハリケーンの被害を受けた。このため、「いつ再開できるかは不明」を意味するフォースマジュール宣言を発出した。生産体制が整わないことで、日本への供給量が著しく低下している。

E HFOは代替がきかない製品だけに、現状では生産体制の回復を待つしかない。原液精製に使われるイソシアネートは世界的な資材不足を受けて品薄状態となっている。中国からの輸入に依存する難燃剤についても同国の電力不足で多くの生産設備が停止しており、入手が困難な状況にある。まさにトリプルパンチの状態と言える。

D ビルやマンションの壁面断熱材の主流である吹付ウレタン断熱工事は建築工事の工程上、11月から来年1月にピークを迎える。具体的な打開策が見いだせない中で、内装などの後工程や建築物の工期、完成・引き渡し時期への影響が懸念され、関係者は頭を抱えている。

A 断熱工事は2、3次下請けとして入ることが多く、元請けに対して直接窮状を訴える機会は少ないよね。

D 吹付硬質ウレタンフォーム工事業者でつくる日本ウレタン断熱協会はその組織力を生かし、元請企業で構成する建設業団体との意見交換や情報共有を考えており、既にいくつかの元請団体と面談している。元請側は発注者との関係性があるものの、現状には一定の理解を示しているようだ。

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