【記者座談会】ゼネコン第2四半期決算出そろう/建設各社アンケートが復活 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【記者座談会】ゼネコン第2四半期決算出そろう/建設各社アンケートが復活

A 大手・準大手ゼネコン26社(単体27社)の2022年3月期第2四半期決算がまとまったね。

B 正直かなり厳しい。昨年、われわれが想像していたよりも、はるかに激しい受注競争が行われていたということだね。特に、営業損失となり通期最終損失に業績修正した三井住友建設や東急建設は、ライバル会社からも「驚いた」という声が上がっていた。ナカノフドー建設も通期最終損失で厳しい状況だ。

C 大林組も含めて大きく営業利益を落としたゼネコンは、個別案件での損失であるため、長く尾を引くことはないのではないか。

B 大林組はそういう見解を示しているが、そのほかの会社は、影響が今期だけにとどまるかどうかは分からない。今回の損失は個別案件で発生した事象によるものということだが、そもそも2、3年前から始まっていた受注競争の激化で1件当たりの完成工事総利益(粗利)率が下がっている。一昨年だったら、今回ほど損失が目立たない案件もあったかもしれない。1件の損失が会社全体の業績に大きな影響を与えやすい環境なので、慎重なマネジメントが求められている。

C 一方で土木は、20社の粗利が2桁を維持している。過去数度の鋼材価格急騰でスライド条項や単品スライド条項が整備されてきたおかげで、今回の資材高が土木の粗利に影響を与えるのを回避できている。「品確法(公共工事品質確保促進法)の制定によって設計変更が受け入れられやすくなり、安定した利益を見込めるようになった」と会見ではっきり言った会社もある。これまでの国土交通省や業界団体の努力が、危機的状況に陥りかねないゼネコン各社を縁の下で支えていることは忘れてはならない。

取り組み継続、有意義な情報を提供

過去の研究開発費の見出しを見ると、各年度の取り組みの傾向がわかる(下から15年度-20年度)


A 毎年、日刊建設産業新聞社が暑中特集号に掲載していた建設各社へのアンケートを本紙が引き継ぎ、研究開発費と特許出願状況の結果が掲載されたね。

B このアンケートは、当時から実施の有無や掲載日などに対する問い合わせが多かった。復活できて、うれしいよ。研究開発では、掲載年度の研究開発テーマと前年度の研究開発実績の記載や、各年度の投資金額、売上高比や土建比を表でまとめている。今回の20年度研究開発実績では、生産性向上や施工合理化に向けたAI(人工知能)、ICT、BIMなどを活用した技術開発やトンネル関係の技術開発が目立った。21年度の研究開発テーマでも、AIやICT、BIM、デジタルの活用による設計・施工・管理の合理化に関する技術開発が挙がっている。特許出願状況では、トンネル技術や施工合理化などに関する公開が多く挙げられていた。

C 新たなアイデアとして、研究開発費にカーボンニュートラルに対する取り組みを加えたね。各社とも、土木・建築の両面から積極的に研究開発を進めていることが分かった。

D ここ数年の見出しを見てみると、2015年度はBIM CIM、16年度はi―Construction、17年度はAI、ICT、18年度は生産性向上、省人化技術、19年度は環境配慮技術、20年度は省力化・生産性向上が飾っている。見出しでその年度の研究開発の傾向がよく分かる。

B 今後も、建設各社の協力をもとにアンケートを実施したい。これまでの取り組みを継続し、新たなアイデアも盛り込み、有意義な情報を提供していきたい。

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