【記者座談会】万博パビリオン続々着工/大手・準大手ゼネコンが第3四半期決算 | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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【記者座談会】万博パビリオン続々着工/大手・準大手ゼネコンが第3四半期決算

◇適正性を確保、業界の不利益に注視必要

A 大阪・関西万博の海外パビリオンが続々と着工している。

B 1月25日にルクセンブルク、31日にサウジアラビア、2月2日に中国、5日にオマーンパビリオンの起工式が開かれた。

C 2023年11月には海外パビリオン用地として初めてトルクメニスタンに土地を引き渡したが、まだ着工したとの発表はない。

D 海外パビリオンは、独自に建設する「タイプA」、主催側が建設した建物に単独で入居する「タイプB」、主催側が建設した建物に共同で入居する「タイプC」と、主催側が建設する簡易型施設に入居する「タイプX」に分かれる。

B 参加国約160カ国のうち、約60カ国がタイプAで出展する。タイプXは、海外パビリオンの着工が遅れたことにより、促進するため新たに設けたパビリオンタイプだが、出展が決まっているのはブラジルなど3カ国。最大でも9カ国程度にとどまると見られている。

A 世間では、能登半島の震災を受け、万博の延期を求める声も上がっている。

D 齋藤健経済産業相が1月19日に、万博会場用地を視察した際、「震災の万博への影響はまだ読めないが、予定どおり開催できるよう、粛々と進めていく」と話していた。

C その後の万博予算執行監視委員会でも齋藤経産相は「会場建設費がいたずらに上振れしないよう、早期にその芽をつみ取ることが重要。適正性を確保し、予算の執行管理に万全を期す」と決意を述べていた。

D いろいろな声はあるだろうが、現場としては、予定どおり開催するため準備を進めている。われわれは、建設業界にとって不利益がないか注視しながら見守っていきたい。

関係者による中国パビリオン定礎式

◇資機材や設備工事費の高騰が影響

A 大手・準大手ゼネコン26社(単体27社)の2024年3月期第3四半期決算はどうだったかな。

E 豊富な手持ち工事高を背景に売上高を伸ばしている企業が大勢を占めた。連結では9割を超える24社が前年同期比で増収となり、12社が第3四半期として売上高が過去最高となった。本業である建設事業だけでなく開発事業で成果が上がっている企業も少なくない。市場としては活況と言えるだろう。

A 課題となっている損益の状況はどう。

E 連結では15社が営業増益、11社が営業減益だった。比較的工期の短い案件が多く、資材高騰の影響を脱しているという企業もあるが、損益は厳しいという声が根強い。

F 今四半期で言えば、清水建設が営業赤字に転じ、通期予想も赤字へと修正した。超大型工事で資機材高騰の影響を受けていた中で、今後も設備工事価格や労務費などを中心に建設コストの上昇が見込まれることから、発注者との交渉だけでは上昇を吸収しきれないと判断した。

G 大型工事で使用する設備工事の特注品価格の上昇は他でも聞いているよ。24年度からは時間外労働の罰則付き上限規制が適用開始となるけど、その影響は未知数だ。ある設備工事企業のトップは、価格転嫁も必要だが企業努力としてコストダウンのためのVE提案もさらに重要になると話していた。

H 建設業と同じく上限規制が4月から適用開始となる物流の問題も懸念されるよね。各支店などで対応を進めているようだが、準大手ゼネコンの社長は「一定程度の混乱は避けられない」と指摘していた。

E ゼネコンは自社社員の管理は当然として、サプライチェーン全体を見通した対策が必須となっているね。

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