【記者座談会】全建ブロック会議/衆議院総選挙 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

公式ブログ

【記者座談会】全建ブロック会議/衆議院総選挙

A 全国建設業協会と47都道府県建設業協会が国土交通省などと意見を交わす2021年度の地域懇談会・ブロック会議が10月29日の北海道地区で全日程を終えた。どのような成果があったかな。

B 皮切りとなった10月5日の関東甲信越地方ブロック会議では、長野建協が工事目的物が引き渡し前に不可抗力で損害を受けた場合の施工者負担(請負金額の1%)の撤廃を求めた。国交省はこれに対して「受注者負担のさらなる軽減を検討したい」と応じ、その後に開かれた中央建設業審議会の総会で、災害復旧工事の不可抗力による損害の受注者負担の軽減案を提示した。

C 協会側は一歩前進の対応に賛同の意を示したものの、公共工事全般での見直しを引き続き訴えていくと見られる。

D 市区町村工事のダンピング(過度な安値受注)に対する危機感が強かった印象もある。

B 地方自治体を含め、受発注者間で働き方改革や生産性向上、建設キャリアアップシステム、賃金水準の向上による処遇改善を進める中で、この流れを阻害しかねないことが背景にある。そもそも品確法(公共工事品質確保促進法)の基本理念は「受注者の適正利潤の確保」だけに、地域建設業の持続的発展に向けてダンピングの排除は絶対条件といえる。国交省は市区町村に対する働き掛けを強める考えだ。

D 各地区とも防災・減災、国土強靱化対策の計画的な推進、公共投資予算の安定的な確保が共通議題となった。

C これらを中長期で実行していくには、社会インフラのフロー・ストック効果と地域建設業の役割を戦略的に広報し、これまで以上に国民理解を得ていく必要がある。受注者だけでは難しい部分があるので、広報活動についても官民連携が求められる。

各地区とも防災・減災、国土強靱化対策の計画的推進、公共投資予算の安定確保が共通議題となった

災害復旧予算しっかり確保を

A 10月31日に衆議院総選挙の投開票が行われた。大変厳しい選挙戦が予想された中で、自民党は単独過半数を占め、絶対安定多数を確保できたね。

B この結果については建設業団体のトップもコメントを出した。現政権に対する国民からの信任が今回の選挙結果につながったとの認識を示すとともに、社会資本整備のさらなる推進の必要性を訴えている。

C 日本建設業連合会の宮本洋一会長は「成長と分配の好循環で日本経済を立て直し、全世代が安心して暮らせる社会の実現」、全国建設業協会の奥村太加典会長は「建設投資による内需の創出とそれによる雇用拡大」に期待を寄せている。全国中小建設業協会の土志田領司会長は「地域の守り手としての役割を再認識するとともに、地場産業としての責務を果たしていく」との考えを示した。

D 政府はこうした声を真摯(しんし)に受け止める必要がある。11月中旬にも政府が取りまとめようとしている新たな経済対策には当然、新型コロナウイルス対策関連が盛り込まれるだろう。一方で、自民党が選挙戦でも訴えてきた「大胆な『危機管理投資』で、安全で強靱な国を創る」という国土強靱化関係にどの程度計上されるか気になるところだ。

A 最近の自然災害の激甚化を考えると、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の着実な推進は欠かせない。ことしの7月や8月に発生した集中豪雨を踏まえると、5か年加速化対策とは別にしっかりと復旧・復興の予算を確保する必要がある。来年には参院選が控えている。ここからしっかりとした実績をつくる必要があるだろう。

【記者座談会】ほかの記事はこちらから



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら