エアーブレイブは、腰の専用ポーチに収めたバッテリーと小型ファンを、作業服内の送風口につなぎ、炎天下では外気温比マイナス2.5度、寒い場所ではプラス9度の風を、首と背中の部分に送り込む。小型ファンは、ペルチェ素子と呼ばれる半導体素子に直流電流を流し、冷・温を調節する仕組みだ。
新製品のエアーブレイブを含めた「ハモン」シリーズは、着用者の生体情報マネジメントができるIoTウェアだ。銀メッキを施した導電性繊維「AGposs」を使用し、着用者の心拍や心電波形、呼吸数などの生体データを採取、専用のトランスミッターから情報を発信してアプリとクラウドサービスでモニタリングのサービスも提供する。
使用分野は建設現場にとどまらない。「実は、トップアスリートの体調管理用にも注目を集めている」と西村公美子取締役は明かす。選手選抜の際に心拍をモニタリングして、選手のストレス耐性を判断できる。
「何より、アスリートは自分を追い込むことはできても、追い込みすぎて適切に休むことができないことが悩み」だけに、ウェアで疲労度を計り、適切なタイミングで休憩の指示を出したり、体調の優れない選手を発見することもできる。
同じように体調管理が重要で、危険の伴う作業が多い建設現場でも、このウェアが活用できないかと考えた。心電や心拍で、副交感神経と交感神経の働きを調べ、疲労度や眠気の強い作業者を発見したり、トランスミッターに仕込まれたジャイロで、身体の角度の変化や衝撃を検知し、転倒や転落事故が起きた瞬間にアラートを発して、作業者の危険を管理者に知らせるなど、労働災害の予知や検知に活用できるという。前田建設や五洋建設、川田工業などが「ハモン」を導入しており、今後も、提案活動に注力する。
現在、「ハモン」シリーズは大学の医学部と連携して、医療機器認定の取得を目指している。エアーブレイブは充電池の持続時間の延長や付属機器の重量軽減などの最終調整に取り組みつつ各現場での採用実績を積みながら、3年以内に10万着の販売を目指すとしている。