【記者座談会】建設産業界2019年3月期第3四半期決算 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【記者座談会】建設産業界2019年3月期第3四半期決算

A 大手・準大手ゼネコン26社の2019年3月期第3四半期決算が出そろったね。
B 大林組と鹿島の連結の売上高が過去最高となるなど、各社とも売上面が好調だ。これまで積み上がってきた手持ち工事が工期後半を迎え、売上計上が順調に進んだ。かといって、完成工事総利益(工事粗利)率が急激に低下するわけでもなく、10%超を維持できているのは、やはり適正な利益を確保できる物件を各社が受注してきたこれまでの受注活動が実を結んでいると言っても良いだろう。
A 一方で大手4社の単体受注高は大幅に減少したが。
B 4社は数期続けて非常に手持ち工事が積み上がっており、社員の働き方改革や技能者の確保などを考え、おそらく調整期に入ったのではないか。ただ、今後も案件は潤沢に予定されており、来期以降はまた積み上げてくるだろう。
C 利益面では、軒並み前期比減となったことを懸念する声もあった。でも、各社とも「前期が良すぎた」と口をそろえており、先行きの不安は感じていないようだ。いまも首都圏の建築の競争環境は緩和状態で、かつての激しいコスト競争の中で利益減という状況とはまったく様相が異なる。
B 来期の不安要素と言えば、資材・物流費の高騰や免震ダンパー不正問題の影響による新規建築プロジェクトの計画ずれ込みなどだろう。資材・人員の調達力次第では、利益に影響が出てくるゼネコンもあるかもしれない。
A 道路舗装会社はどうだったかな。
D 受注高を見ると道路舗装上場7社のうち、5社が減少と全体的に減少傾向が目立つ。なかでもNIPPOと世紀東急工業は前年同期比で2桁減となったが、これは好調だった前期の反動減が主な要因としている。売上高では7社中4社が増収となったものの、利益面では原料価格の上昇などが影響して7社中5社は営業利益、経常利益ともに減少している。通期の業績予想では、三井住建道路が完成工事総利益が増加したことから連単ともに各利益を上方修正した一方で、前田道路と東亜道路工業は下方修正している。

首都圏での旺盛な建築需要を背景に、手持ち工事も潤沢に積み上がっており、ゼネコンの競争環境は様相を一変した

設備、メーカー各社も好調維持

A 設備工事会社は。
E 電気設備工事大手5社の個別業績は、増収増益、減収増益、増収減益、減収減益と見事に分かれた。通期予想に対する受注高の達成率は2社が80%を超え、通期では5社とも前期実績を上回ると予想している。通信設備工事大手3社は、いずれも経営統合効果が反映され、受注高、売上高、各段階利益のすべてで前年同期実績を上回った。
F 空調設備主力の上場大手6社は、4社の連結受注高が前年同期実績を上回った。設備工事各社はリニューアル案件などもあって、受注の落ち込みはあまり感じられない。繰越工事高も積み上がっており、売り上げに結び付けるための施工力確保が各社共通の課題だ。利益面では利益率が若干だが低下傾向を示しつつあるといえるね。
A 資機材メーカーはどうかな。
G セメント大手4社は、堅調な需要が下支えして国内販売数量が伸びたこともあり、全社とも増収だった。ただ利益面を見ると、引き続き高騰した石炭価格などが響き、海外子会社が好調な太平洋セメントを除く各社が減益を示している。
H 建機メーカーは、大手4社とも増収増益で好調な決算だった。依然として好調な海外が業績をけん引した。一大市場である中国を見ると需要の鈍化が見られるが、春節明けには建機需要が集中するため、各社ともその動向を注視している。

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