【記者座談会】日建連、全建がコロナ対応で自民に要望/前田建設の前田道路へのTOBが成立 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】日建連、全建がコロナ対応で自民に要望/前田建設の前田道路へのTOBが成立

 新型コロナウイルス感染症の拡大につれて、日本建設業連合会と全国建設業協会も景気の減退に伴う民需の低迷を危惧しているね。
 民需の落ち込みを抑え、景気を押し上げる観点から、自民党に対して公共事業の増加を要望した。当然ながら国内経済の安定と成長を主眼としているが、景気が悪化すれば、健全な発展に向けて光明が差しつつあった建設業の環境も一転する。担い手対策のための働き方改革、生産性向上に水を差すことになりかねないとの危機感がある。
 ピーク時から技能者は減少しているものの、それ以上に建設投資が削減されていることから、両団体とも公共投資が増加しても、問題なく施工体制を整えられるとの考えを示している。また、中国産の資材に頼る建築工事は、一部で調達難に陥っているが、土木工事に影響はないと説明している。
 全建は、民間工事で建築資材の調達難に伴う工程遅延と違約金の発生、工事の休工・遅延にかかる支出増加を課題として挙げ、資材の調達難や感染者の発生など不可抗力を考慮した工期延長と請負金額の変更(補填)も求めたね。
 国土交通省はこれらの事象が建設工事標準請負契約約款の「不可抗力」に該当するとし、受注者による工期延長の要請、増加費用にかかる受発注者協議を認め、民間発注団体に通知している。
 全建は中小建設業者を対象とした無利子・無担保融資と民間発注者の負担軽減措置、民間発注者の倒産による中小建設業者の連鎖倒産に備えたセーフティーネットの構築も提案した。
 今後、地方で感染が本格化すると、地域建設業への影響も懸念されるだけに、支援策を議論しておく必要がありそうだ。

自民党・経済成長戦略本部、新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の合同会議に出席する全建

両社間に“しこり” 関係改善に時間

 話は変わるけど、前田建設による前田道路に対するTOB(株式公開買付、公開買付者は前田総合インフラ)が成立した。
 前田道路が打ち出した特別配当やNIPPOとの資本業務提携がどれだけ対抗効果があったのか。結局、前田建設が設定した1株当たり3950円という価格が前田道路の株主には大きかったということだろう。前田建設が、周到に準備して臨んだということだけは分かる。
 前田道路の特別配当は、4月の臨時株主総会で可否が決まるが、TOB成立前の3月6日が基準日ということを踏まえれば、可決される可能性がかなりあるようだ。そうなると、前田道路の利益剰余金が放出され前田建設にとっても痛手だろう。
 前田建設は、剰余金だけが目当てだったのではなく、あくまでも『総合インフラサービス企業』に生まれ変わるために必要な企業という姿勢を一貫して示している。ただ、最も大きな痛手は、今回のことによる両社の間の“しこり”だろう。これから前田建設は関係改善に腐心することになるだろうね。
 少し前に道路子会社を持つ大手・準大手ゼネコン各社が次々に道路会社を上場廃止にしたが、融合が思うように進んでいない会社もあるようだ。前田建設・前田道路も、融合とシナジー効果発揮には時間が必要かも知れない。
 ある準大手ゼネコンは、TOBが発表された直後に、「とんでもないことをしてくれた」と怒っていた。これまで業界には敵対的TOBを仕掛ける風土がなかった。今回の事例を契機に、建設業界でも敵対的TOBが珍しくない環境になってしまえば、自分の会社も買収対象になりかねないという危機感があるようだ。いずれにしても、いろいろな点で話題の多い出来事になった。
 
 
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