【記者座談会】全国各地で入社式/東京都がCCUS導入 | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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【記者座談会】全国各地で入社式/東京都がCCUS導入

◇残業規制で教育方法も変化の可能性

A 1日、建設産業各社は入社式を開いたね。担い手不足が叫ばれる中、今年も多くの新入社員が建設産業の門戸をたたいた。

今年も多くの新入社員を迎えた


B 時を同じくして1日からは時間外労働の罰則付き上限規制の適用が開始され、週休2日が当たり前の環境となる。業界の次代を担う世代がいかなる活躍を見せるか、注目していきたい。

A 入社式で各社のトップからはワーク・ライフ・バランスを重視する発言が多く聞かれた。また、若い世代ならではの発想・アイデアや、デジタルネイティブとしての活躍を期待するメッセージも寄せられた。

B 背中を見て覚える時代から、今では生成AI(人工知能)に聞いて覚える時代になったとの話もある。残業規制により労働時間が短くなる中、教育にかける時間も従来と同じというわけにはいかないだろう。新たな教育方法を模索する動きが今後活発化する可能性を秘めている。

A 一足先に残業規制が適用された建設コンサルタントなどでは、教育にかける時間が減ったとの声も聞かれる。DX(デジタルトランスフォーメーション)などを活用しながら、これまで蓄えた技術・知見をいかに次世代に継承していくのかが重要なテーマになりそうだ。

B それにしても1日の都内の主要各駅はいつも以上に混雑していた。こうした光景は毎年変わらない気がする。

C 確かに。混雑にはうんざりする。だが、入社式は徐々に変化しているようだ。ある会社では、入社式に伴うもろもろの手続きを電子化していた。取材に対応してくれた広報の職員は、「自分の時代とは大きく変わった」と話した。残業規制を契機に業界の変化のスピードが加速するかもしれない。

◇都がCCUS導入、普及にはずみ

A ところで東京都が1日、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用工事を導入すると発表した。国に次いで公共工事発注量が多い都の動向が注視されていたが、導入によって自治体のCCUS活用拡大も期待される。

B 2月9日時点での都道府県でのCCUSのモデル工事などの導入状況は、47都道府県中43道府県で工事成績評定や総合評価、入札参加資格での加点、カードリーダーなどの費用補助などの取り組みを実施している。「検討中」として未導入だったのは都も含め4都県となっていたが、これにより未導入は青森、山形、富山の3県となる。

C 都はこれまで、CCUSの普及啓発活動に取り組んでいたが、制度にはメリットとデメリットの両面があるとして工事での活用には慎重だった。今回、理解促進と活用状況を把握するため、都発注の大規模工事での活用に踏み切った。大規模工事に限定していることから、事業者登録が進んでいる大手ゼネコンの活用状況の把握が第1ステップとなるのだろう。

B ただ、CCUS普及については中小建設事業者の登録の伸び悩みが課題となっている。都内区市町村ではCCUSを活用した工事は、ほとんどない。

C 東京建設業協会の野瀬達昭専務理事は、都のCCUS活用工事の導入を評価する一方、「大規模工事にとどまらず、あらゆる規模での展開を求めていきたい。都発注工事のCCUS活用が定着することで、中小建設事業者の登録を促進し、区市町村工事へと波及していくことを期待したい」と語る。

A 都の取り組みはCCUS普及に向けた大きな一歩になるだろう。さらに全体へ普及を拡大するために官民一体での連携が不可欠だ。

 

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