【道路空間づくりから誕生】自転車通勤推進宣言企業に認定 日本海コンサルタントの取り組み | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【道路空間づくりから誕生】自転車通勤推進宣言企業に認定 日本海コンサルタントの取り組み

 日本海コンサルタント(金沢市)は、国土交通省が2020年度から始めた「自転車通勤推進企業宣言プロジェクト」で宣言企業に認定された。建設関係では同社をはじめとする4社が全国で認定された。折しもコロナ禍で「密」を回避できる通勤手段として注目を集める「自転車」だが、首都圏と異なり地方都市では依然として「自動車」通勤が主流というところも少なくない。同社に取り組みの理由などを聞いてみた。

シェアサイクルを利用している社員も(会社前にあるポートで)


 宣言企業への認定申請を主導した、社会事業本部計画研究室の中野達也リーダーによると、自転車通勤している社員は現在、自身も含め20-30人。日によって異なるが全体の1割程度だという。「健康にもいいし、メリハリができて仕事の効率アップにもつながり、会社にとってもメリットがある。宣言すればさらに推進できると思い手を挙げた」と認定申請への経緯を説明する。

 同社はこれまでも従業員の子育て支援やWLB(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けて次世代育成支援行動計画を策定するなど、働きやすい職場環境整備に力を入れており、もちろん、駐輪場も整備済みだ。こうした会社側の姿勢も取り組みを後押ししたようだ。さらに金沢市では公共シェアサイクルが実施されており、それを利用できることも大きいという。

 実はこのシェアサイクル、運営主体は同社なのだ。市から受託し、電動アシスト付き自転車の貸し出しや市内に50カ所近くあるポートの管理などを行っている。災害発生時には対応に当たる市職員が無償で使用できるよう、市と災害時協定も結んでいる。自転車通行への同社の関わりは、本業の建設コンサルタントとして十数年前にさかのぼる。07年度に北陸地方整備局金沢河川国道事務所が全国で初めてバス専用レーンを活用した「自転車走行指導帯」を整備した事業に関わった。この社会実験が成功し、金沢は一躍自転車通行先進地になる。

 当時計画づくりに携わり、いまシェアサイクル運営事務局にも籍を置く、同社・社会事業本部計画研究室の片岸将広グループ長は、金沢の城下町特有の狭い道路空間をいかに利用していくのかという視点が、「人中心の道路交通環境の創出」を基本理念とする現在の市の自転車施策を推進してきたと説明する。身近に生活の足として使っている自転車が、地域の道路施策にも重要な意味を持ち、そのことに自身の仕事としても携わっていく。片岸、中野両氏の話からは、生活や地域社会に根ざしながら進めている、そんな仕事の自然な手つきが感じられた。

 宣言企業プロジェクトでは特に優れたものを「優良企業」として認定している。管理本部の山田睦総務部部長は「自転車利用も通勤の一つの選択肢。生活スタイルや天候に合わせストレスにならないよう企業の中に自然に(自転車利用を)取り入れられ、それで優良企業も狙えるようであればいうことない」とにっこり。“日本海”流だ。

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