【視覚障がい者支援ソリューション】「AIスーツケース」実装へ 清水建設らが使いやすさ検証 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【視覚障がい者支援ソリューション】「AIスーツケース」実装へ 清水建設らが使いやすさ検証

 清水建設、アルプスアルパイン、オムロン、日本アイ・ビー・エム、三菱自動車工業の5社で設立した「次世代移動支援技術開発コンソーシアム」は、最新のAI(人工知能)・ロボット技術を組み合わせることで、視覚障がい者の移動やコミュニケーションを支援する統合ソリューション「AIスーツケース」の社会実装に取り組む。

 12日から三井不動産が管理運営する商業施設「コレド室町3」(東京都中央区)などをフィールドに搭載機能の性能や使いやすさを評価・検証する実証実験を始めた。期間は2021年4月30日まで。コレド室町3だけでなく、国内の商業施設や公共交通機関、大学構内などにも実証フィールドを拡大していく計画だ。

 対象のAIスーツケースは、カメラなどのセンサーから得られる情報と最新のAI・ロボット技術を組み合わせることで、視覚障がい者が自立して街を移動することを助ける技術。無理なく携行できるウエアラブルデバイスとスーツケース型ナビゲーション・ロボットで構成する。

 位置情報と地図情報から目的地までの最適ルートを探索する機能や、音声や触覚による情報提示を交えながら誘導する機能、映像やセンサー情報から障害物を認識して避けるといった基本機能だけでなく、クラウド上の知識情報を活用して周囲の店の案内や買い物を支援する音声対話、知人を認識して、その表情や行動から相手の状況を判断するコミュニケーション支援などの機能を併せ持つ。

 新型コロナウイルス感染症への対応として、映像やセンサー情報で人とのソーシャルディスタンスを確保しながら誘導する機能や、映像からマスク着用の有無を判定して音声と触覚(振動)で知らせる機能、マスクを着用していても知人を認識して円滑なコミュニケーションを図れる機能も追加した。

 新たに慶応義塾大学と早稲田大学が賛助会員として参画。AIスーツケースをプラットフォームとした研究活動を進める一方、日本点字図書館と日本盲導犬協会が実証実験を通じて視覚障がい者の移動支援や技術的な課題解決に対する知見を提供することで、障がいの有無にかかわらず、互いにその人らしさを認め合う「共生社会」の実現を目指す。

 コンソーシアムのホームページに、コレド室町3で先行的に実施した関係者によるデモンストレーション動画(https://caamp.jp/technology/)が公開されている。

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