【記者座談会】インフラメンテナンス推進/研究開発と特許出願アンケート | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

公式ブログ

【記者座談会】インフラメンテナンス推進/研究開発と特許出願アンケート

◇点検講習会で新技術展開

長野県の講習会には約60人が参加した


A 中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故の発生から2日で11年。建設後50年以上経過する施設の割合が増え続ける中、予算と人員が不足する自治体の現状はまだまだ課題となっている。

B 国土交通省は、地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)を地方自治体に浸透させるため、公募していたモデル地域の初弾に40地方自治体11件を選定した。

C 包括的民間委託などで、広域的・分野横断的な維持管理の支援が進むと良いね。

A 建設業全体と同じく、やはり新技術の導入は欠かせない。群マネとともに、どんどん導入したいが、新技術を知らない地方の事業者は多いようだ。

B 関東地方整備局長野国道事務所や中部地方整備局飯田国道事務所、長野県内の道路管理者などで構成する長野道路メンテナンス会議は今月、新技術を活用した橋梁点検講習会を開いた。コロナ禍もあり初めての現地講習となった昨年が好評で、2回目の開催に至ったようだ。

C 2022年度から直轄国道の定期点検で、トンネルと橋梁の点検支援技術の活用が原則化した。自治体にも広げることが課題となっている。

A 発注者として、新技術を積極的に取り入れてもらいたいものの、存在自体を知らない職員はまだまだ多いという認識だそうだ。長野県の講習会もそのような背景もあり、2回目の開催となったと聞く。

B 当日は、若手職員の姿も目立った。機械に抵抗がない、いわゆるデジタルネーティブ世代が興味・関心を持ってくれるのは、とても心強い。

C ヘドロで足を取られたり、かがんだままでしか入れない狭い場所も新技術で効率良く点検できる。インフラとともに、点検者の安全確保のためにも、展開を進めないとね。

◇技術開発通じ社会貢献に期待

A 主要建設各社へのアンケートで、研究開発費と特許出願状況の結果が掲載されたね。

B 2022年度の研究開発費の実績を見ると、鹿島をトップに、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店、フジタ、前田建設、長谷工コーポレーション、戸田建設、安藤ハザマと続く。23年度の研究開発の見込みでは、同じく鹿島をトップに、清水建設、大成建設、大林組、戸田建設、フジタ、前田建設、長谷工コーポレーション、五洋建設、熊谷組と続いている。

C 22年度実績と23年度見込みにおける増減では、多くの会社が前期比増となっており、各社ともに積極的に技術開発に取り組んでいることが分かった。

D カーボンニュートラル関係の22年度技術開発実績では、コンクリート関係、AI(人工知能)の活用、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)、木の活用、バイオマス、BIMの活用など、多様な取り組みが進められている。また、23年度カーボンニュートラル研究開発テーマでは、やはりコンクリート、木造、木質といったワードが多くみられた。

A 特許の出願状況はどうだろう。

B 大林組をトップに、清水建設、大成建設、竹中工務店、鹿島、フジタ、奥村組、戸田建設、三井住友建設、熊谷組と続いており、登録、公開の件数は、ともに竹中工務店がトップとなった。

D 主な公開特許では、接合構造や補強構造など、構造に関するものが多かったね。

A 各社ともに技術開発に力を入れており、来年も、各社の新技術が紙面を飾ることが楽しみだ。技術研究所や現場の皆さんなどが苦労し、思いを込めて開発した新技術が、人々のより良い生活、安全・安心の確保、そして持続可能な社会に貢献することに期待したい。

【記者座談会】ほかの記事はこちらから

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら