【記者座談会】笹子トンネル事故から10年/22年度第2次補正予算が成立 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【記者座談会】笹子トンネル事故から10年/22年度第2次補正予算が成立

◆インフラ“群”管理が第2フェーズ突入

A 中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故の発生から2日で10年を迎えた。9人が亡くなった痛ましい事故を教訓とし、インフラの予防保全型への転換に向けたメンテナンスサイクルの確立をはじめ、総合的な取り組みが進展した。

B 本紙2日付から7日付までの連載「メンテナンスの10年」では、2013年の「社会資本メンテナンス元年」以降の第1フェーズの歩みと今後の展望を国土交通省や自治体の声とともに紹介した。そこで見えてきた課題の一つは、予算や人員が不足する自治体で、いかにインフラメンテナンスを進めていくかということだ。

C ある自治体の取材では、この20年で道路にかける維持管理費が半分になったという声が聞かれた。だからこそ各自治体は新技術の活用などの創意工夫で課題を克服しようとしている。4月に発足したインフラメンテナンス市区町村長会議が、こうした課題の共有と効率的な取り組みの水平展開の場になることを期待したい。

D 2日には社会資本整備審議会と交通政策審議会の技術部会が、インフラメンテナンスの第2フェーズの在り方を示した提言を斉藤鉄夫国交相に手渡した。軸となるのは「地域インフラ群再生戦略マネジメント」の展開だ。

B 既存の行政区域にこだわらない地域内の複数・広域・多分野のインフラ施設を「群」として捉え、戦略的なマネジメントにつなげる考え方で、例として包括的民間委託などによる広域的・分野横断的な維持管理などが挙げられる。

C 建設後50年以上が経過する施設の今後のさらなる増加を考えると、インフラメンテナンスの取り組みはこれからが正念場と言える。提言を踏まえ、将来の安全・安心に向けた実効性のある施策展開が求められるね。

市区町村の課題などを踏まえた今後のインフラメンテナンスの在り方として、地域インフラ群再生戦略マネジメントが打ち出された

再開発事業への補助も創設

A 2日に、2022年度第2次補正予算が参院本会議で可決・成立した。今回の補正予算のポイントは。

B 先に政府が閣議決定した「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を実行するための予算で、一般会計の歳出総額は28兆9222億円となった。経済対策の4本柱には、社会資本整備を含む「国民の安全・安心の確保」が据えられている。

C 補正予算のうち、公共事業関係費は1兆8158億円で、大部分は「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の3年目分が占める。その額は1兆5341億円で、強靱化関係予算としては前年並みの水準となる。

B 現行の5か年対策は、21-25年度の対象期間に、国費ベースで7兆円台半ばの予算措置を掲げている。3年目で既に、その約7割に達したことになる。このペースでいけば、最終5年目を待たずして目標を満たす見通しとなっている。このため、1年前倒しでの後継計画の策定と実行を望む声が業界から高まっている。現に、根拠となる議員立法の国土強靱化基本法の改正に向けて、自民・公明の与党PT(プロジェクトチーム)が立ち上がるなど、具体的な動きも活発化してきている。

D 補正予算では、かつてない建設資材高騰への対策として、日本建設業連合会などが政府・与党に強く働き掛けてきた市街地再開発事業への補助制度が盛り込まれた。建設工事費の高騰で事業・資金計画の変更が確実に見込まれる再開発事業などを「防災・省エネまちづくり緊急促進事業(地域活性化タイプ)」の交付対象とする。補助金・交付金を除く工事費に100分の11.5を乗じた額、計画変更前後の工事費増加額のいずれか少ない方を限度額とする内容だ。

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