【記者座談会】経営トップの交代相次ぐ/清水建設らが次世代移動支援技術開発コンソーシアム | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】経営トップの交代相次ぐ/清水建設らが次世代移動支援技術開発コンソーシアム

A 7日に長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、三機工業、高砂熱学工業の4社が4月1日付の社長交代を発表した。
B 一度にこれだけの社長交代の記事が紙面をにぎわせたのはなかなか珍しい。
C 社長交代の理由は、長谷工コーポレーションが「新たな経営体制のもと、持続的な企業価値の向上に向けて次期中期経営計画を強力に推進するため」、ピーエス三菱が「経営トップの交代を図り、さらなる企業価値向上を目指す」と説明した。
B 三機工業は「経営体制刷新」、高砂熱学工業は「CEO(最高経営責任者)が取締役会議長として長期的視点で経営全般の監督を担い、COO(最高執行責任者)が取締役会で決定した経営方針などに基づき業務執行全般を担う体制とし、役割の明確化と経営機能の強化を図るため」とした。
A 長谷工コーポレーションは会見も開いたが。
C 辻範明社長は「サラリーマン社長は時代に合わせて交代し、新しい会社に変わっていくことが必要だ」と述べた上で「わたしは常々、サラリーマン社長は自身の成長と会社の成長、社会の変化の中で、それぞれの時代に対応できる人材が会社を背負っていくものだと話している。自分と時代が合わなくなってきた時には次の時代にふさわしい人にバトンタッチしなければならない」と指摘し、時代に適した人材がトップに就く重要性を強調した。
B 新たに社長に就任する予定の池上一夫取締役専務執行役員については「きちょうめんでAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの分野にも長けている」とし、日々進化するIT技術や働き方改革など、大きく変化する環境への対応が迫られる時代のトップとして適任だと評価した。
C 時代の変化を見極め、そこに適した人材へ席を譲るタイミングを見極めることも、経営者の重要な責任だろう。

会見で握手する長谷工コーポレーションの辻社長(右)と池上次期社長

視覚障害者のアクセシビリティー向上

A 話は変わるけど、清水建設など5社が視覚障害者のアクセシビリティー(利用しやすさ)向上を目的として、一般社団法人を立ち上げたね。
D 正確には次世代移動支援技術開発コンソーシアムだ。清水建設のほかにアルプスアルパイン、オムロン、日本アイ・ビー・エム、三菱自動車工業が名を連ねている。
A 具体的にどのような活動を行うのか。
D 視覚障害者の実社会でのアクセシビリティーと生活の質の向上を目指して、AIスーツケースの開発と社会実装に向けたデモンストレーションを行う。
A AIスーツケースとは。
E 視覚障害者が日常生活で無理なく携行できることに着目したウェアラブルデバイスとスーツケース型ナビゲーション・ロボットだ。視覚障害者の移動を支援する。
D 一般社団法人の設立のきっかけは、発起人兼技術統括者でIBMフェローの浅川智恵子さんの米国カーネギーメロン大学で視覚障害者のスーツケース型誘導ロボットの研究だ。
F 自身も視覚障害者である浅川さんは、清水建設の技術研究所で開かれた記者会見で「AIスーツケースが新しいAIの応用となって、さまざまな分野に発展することを心から願っている」と期待を込めた。
E 2022年までに技術開発、実証実験、社会実装に向けた構想を経て、その後の社会実装を目指している。コンソーシアムの活動を通じて、障害のあるなしにかかわらず、互いがその人らしさを認め合いながら、ともに生きる社会が実現できればと思う。
 
 
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