【記者座談会】18年3月期決算・ゼネコン6割が最高益 道路舗装、設備工事各社も好調キープ | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】18年3月期決算・ゼネコン6割が最高益 道路舗装、設備工事各社も好調キープ

A 2018年3月期決算開示が一段落した。大手・準大手ゼネコン各社は工事採算がやや苦戦するとの見立てから、保守的な計画を立てる社が多かったが、ふたを開けて見れば6割(26社中16社)の企業が最高益になった。

大手・準大手ゼネコン各社は工事採算がやや苦戦するとの見立てだったが、ふたを開けて見れば6割の企業が最高益になった。最高益の背景には工事採算が依然として高水準を維持していることがある


B 最高益の背景には工事採算が依然として高水準にある。単体の完成工事総利益(工事粗利)率が10%を上回ったのは22社で8割を超える。粗利20%超えもあり、粗利で5%を割っていた社もあった10年前と比べれば雲泥の差だ。
C 各社とも生産性向上に乗り出しているが、利益確保が進む最大の理由は受注時採算の高さにある。それだけ受注環境が良いということだ。買い手市場の中で各社は“質”の高い手持ちを着実に増やし、これを順調に消化しており、利益を着実に積み増している。次期19年3月期も一定程度の高い利益水準になることは間違いないだろう。
B 当初は18年3月期を境に手持ち工事の施工がピークを迎えることから、労務や資材価格の上昇が懸念材料となり、工事採算が落ち込むとの予測があったが、大きな影響は出ていないのが現状のようだ。今後は現場の休日確保に向けた取り組みに乗り出す必要もあり、19年3月期はゼネコンにとって勝負の年になる。
C ちなみに19年3月期は手持ち工事の蓄えもあり、増収予想は22社だが、増益は12社にとどまる。いずれ現在の良好な受注環境に競争の色合いが強まることは明らか。工事採算への影響は大きいだけに、いかに収益の多様化を図るかが、ゼネコン経営の軸になっているね。
A 道路舗装会社の業績はどうだったかな。
D 高水準だった繰越工事の消化を順調に進めたことにより大手8社のうち東亜道路工業を除く7社が増収だった。中でも大型工事の施工が進んだことなどで大林道路、大成ロテック、世紀東急工業の3社は2桁の増加を示した。一方で、利益面は減益傾向だ。営業利益は全社が前期実績を下回った。原材料価格の高騰などが大きく響いた格好だ。売上総利益率を見ると8社全てが減少している。内訳では製造販売の下落が顕著で、利益率の低下により各利益が伸び悩んだ。
E 19年3月期の業績予想は、全社が18年3月期と同等の売上高を見込んでいる。繰越工事高は世紀東急工業を除く7社が増加しており、依然として高水準のため、受注高は18年3月期と同水準を見込む社が大半を占めている。さらに、原材料価格の影響も引き続き考慮し、利益面も大きな回復を想定する会社は少ない。
A 設備工事会社の業績はどうか。
B 電気系は関電工、きんでん、九電工、トーエネックの4社が増収増益だった。都市部の大型再開発に加え、電力会社以外の一般工事もあり、好業績が続いている。利益面では関電工ときんでんが純利益で、九電工が各段階利益で過去最高を更新した。トーエネックも営業利益と経常利益が1998年度の連結決算開示以降で最高益となった。
G 空調系は高砂熱学工業、大気社、三機工業、ダイダン、新日本空調、朝日工業社の上場大手6社すべてが増収増益だった。18年3月期は産業空調の受注が好調だった。19年3月期も高砂熱学工業、三機工業、ダイダン、新日本空調の4社が増収増益を見込んでおり好業績が続きそうだ。
H 通信系もコムシスホールディングス(HD)、ミライトHD、協和エクシオの大手3社は受注高、売上高、各段階利益すべてで前期実績を上回った。良好な事業環境の中、設備工事各社は好調だ。

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