【日刊建設通信新聞社主催】第2回 BIM/CIM LIVE2020⑥ | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

B・C・I 未来図

【日刊建設通信新聞社主催】第2回 BIM/CIM LIVE2020⑥

日本オラクル/過去のデータ蓄積し将来予測

   建設&エンジニアリング事業部門セールスディレクタ 栗原 哲氏

 近年の建設プロジェクトは、種類や規模の増大によって複雑化している。建設業界もデジタル化やシステムの導入を始めてはいるが、各社各様のシステムを導入したとしてもプロジェクト全体の生産性の向上は難しい。会社同士のシステムを連携させ、全体の生産性をどう向上させるかが近年の建設業界の課題だ。

 われわれは「中立性」をキーワードに、この課題を解決するソリューションを提案している。▽アクセス権に関係なくすべての情報を見ることができる特権ユーザーはいない▽情報へのアクセス権は、情報発行者に対して透明性がある▽一度発生したやりとりは、後から修正できない▽すべての組織は、自組織内で非公開の通信を行うことが可能▽参加する組織を事前通告なしに、システムから切り離すことはできない–の5つの原則から、システムのプライバシーとセキュリティーを担保し、プロジェクトに携わる全ての組織が平等にシステムにアクセスできるモデルを提案する。

 目指すゴールは、過去のプロジェクトや他社の経験などから蓄積されたデータに、これを分析するインテリジェンスを組み合わせることで、将来の予測を改善したり、プロジェクトのリスクを検知するデータ活用モデルにつなげていくことだ。

 活用事例にオランダのスキポール社の取り組みがある。同社ではプロジェクトのリスク、損失の保護、完全な監査証跡を作成することを目的にプロジェクト管理を実施した。結果は、レポートの作成効率が50%上昇しただけでなく、現場のイシュー管理は80%加速し、従来33日を必要とした作業を5日で終わらせることができた。

 わが社が強みとするデータサイエンステクノロジーやプラットフォーム技術、連携技術を組み合わせることで、ワンストップでプロジェクト管理の効率化に資するソリューションのさらなる提案を目指していきたい。


オートデスク/設計全体でプロセスを統合

   技術営業本部建設ソリューションスペシャリスト 日下部 達哉氏

 当社の包括的BIM/CIMツールセットに含まれる、Civil3DやRevitに対応したビジュアルプログラミングツール「Dynamo」を紹介したい。

 Dynamoでは、コードを書く代わりに、オートデスクや第三者が提供する関数(ノード)をワイヤー(線)でつなぎ、プログラムを作成する。従来は、Civil3DやRevitなどの機能を拡張する際にプログラミングの専門的知識が必要であったが、Dynamoではノードをワイヤーでつなぎ、実行ボタンを押すだけで処理が可能となる。

 さらに、Dynamoプログラムをワンクリックで実行する「Dynamo P1ayer」を使用すれば、プログラムの中身を理解せずとも処理が実行できる。

 現状では、CADオペレーターとの分業が確立され、設計担当者がBIM/CIMに触れられないという問題点がある。また、ツールと土木設計の知識がともに要求されるBIM/CIM案件では業務を外注するケースが多く、社内に技術が蓄積されないことも課題だ。加えて、2次元図面を作成してから3次元を立ち上げる現状のBIM/CIMは、手間がかかり、情報の不整合も発生する。「Dynamo」では、設計全体でプロセスを統合し、データの一貫性を図ることができる。「Dynamo P1ayer」を利用すれば、BIM/CIM推進室に相当する部署が作成したプログラムを設計担当者が使用しながら、社内に技術を蓄積できる。

 例えばDynamoを使用し、Excelの構造計算結果とRevitの橋台モデルを連携させ、自動で配筋や寸法修正が可能となる。さらに、Civil3Dの擁壁モデルの数量をExcelに自動出力するほか、地すべりモデルの上に法枠を自動作成することも可能となる。このように、Dynamoは設計作業を効率化する手段として非常に有効である。





建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら