【特集】コンストラクション・イーシー・ドットコム創立20周年vol.1 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【特集】コンストラクション・イーシー・ドットコム創立20周年vol.1

 建設産業の電子商取引、電子契約を牽引するコンストラクション・イーシー・ドットコム(CEC・COM)が創立20周年を迎えた。2000年の創立以来、建設業界の企業間情報ネットワーク標準となるCI-NETに準拠した『CIWEB』や『CECTRUST』などの電子商取引のプラットフォームを構築し、“バックオフィスの電子化”という、新たな潮流の推進に貢献してきた。時代のニーズに合わせてサービスをブラッシュアップし続ける同社の最新動向と、電子商取引の将来を展望する。

コンストラクション・イーシー・ドットコム代表取締役社長 山口重樹氏

◆時代に合わせたサービス提供

 ――これまでの20年の歩みを教えてください

 当社は、インターネットを活用して事業展開する「e-ビジネス」が注目されはじめた2000年に、NTTデータと大手ゼネコン等の出資で設立しました。建設業向けの電子商取引や電子契約のインフラを提供するべく、システム開発し、普及を図ることが、当社の歩んできた道筋といえます。

 02年に、『CECTRUST電子契約サービス』と建設業界の標準電子商取引に対応した受注者向け『CIWEB電子商取引』のサービス提供を開始しました。

 その後、電子契約は電子証明書を活用した『CECTRUST-Light』へと発展し、現在は会員4000社、利用件数が月1万件となり大幅な増加を続けています。

 また、CIWEBは会員1万社を超え、安定して成長しています。それと並行して、13年から発注者(元請け)の見積、注文、出来高・請求まで一連の業務を効率化する電子商取引サービスとして「調達サイト」の提供を開始しました。各社の社内システムについても柔軟に連携し、電子化によるワークフローの変更にも容易に対応できるため、地域建設企業への普及に力を入れていきたい。

 20年には紙の請求書の電子化に対応した『CEC-Q請求サービス』を開始しました。協力会社などの取引先は電子化した請求書をゼネコンに提出できるため、指定された請求書の作成、郵送の手間を効率化できます。このように時代に合わせたサービスを開発し、提供しています。

◆リモートワークの拡大に貢献

 ――i-Constructionでデジタルデータの活用が進む中、どのように業務改善に貢献しますか

 i-Constructionは、施工技術の生産性向上が主な目的ですが、当社のサービスは、バックオフィスや事務処理など管理業務の効率化に貢献できるところが強みになります。

 建設業界も事務作業の電子化が進んできたとはいえ、紙の業務が根強く残ります。その2つ(紙と電子データ)を併用することになると、逆にコストや手間が増加します。関連する業界や業種が多く、規模が大きい産業のため、電子化を進めづらいのは承知していますが、どんな企業も業務の一部は電子化しています。そこを広げることが大切だと感じます。

 例えば生コン関係の業務では、紙に印刷された出荷伝票を発行し、それにもとづいて請求します。しかし、その出荷伝票はコンピューターで処理した結果を印刷したものです。電子データだけで処理できるシステムが構築されれば、伝票を印刷する必要もなくなります。紙と電子の2つに対応する必要がなくなり、業務改善につながるのです。

 新型コロナウイルスの感染症対策を進める中でリモートワークが急速に普及しましたが、電子契約や電子商取引もその動きに対応します。電子契約であれば、押印するためにわざわざ出社する必要もなくなります。そうした契約事務の基本的な業務をデジタル化することで、リモートワークの拡大にも貢献します。

◆システムは課題を解決するため

 ――次の10年に向けた事業展開は

 ASP、クラウドサービスを提供し、建設業界のバックオフィスの改善に取り組む方向性は変わりません。建設業界のデジタル化を推進することがミッションになるでしょう。まだ未対応領域が多いため、ニーズを把握しながらデジタル化を進めたいと思います。業界全体で取り組むi-Constructionや建設キャリアアップシステムについても株主である大手ゼネコンと十分に調整しながら、当社のサービスとの接点にも着目し、どう連携できるかを考えていきたいと思います。

 これまでは電子商取引や電子契約のサービスを個別に提供してきましたが、今後は当社が保有するツールを組み合わせ、「顧客の困りごとをどう解決するか」という視点で提案していきたいと思います。地域建設企業の業務効率化につながる各種ツールを整備していく予定です。

 サービスを導入した各社がデジタルデータを加工・分析し、業務改善につなげるためにも、セキュリティーをさらに強化していきます。今後は施主と元請けの間で電子契約が進むことが想定されるため、その部分にも注目したいと思います。当面の目標は“紙の請求書ゼロ”の実現です。紙ベースの作業は電子化して効率化し、人が直接行う仕事はより高度な業務に移していく。人手不足が深刻化しているため、そうしたワークフローの移行が大切です。

 なにより大切なことは、システムは課題を解決するためにあるということです。課題解決能力が、システム会社にとっても大きなものになっています。ソフトウェアを導入し、組織、社員の育成といった企業体制を変えるところまで支援するのがCEC・COMの役割といえます。

◆建設業界を理解する人材が強み

 ――顧客の課題を解決する際にポイントになることは

 当社はゼネコンの経験者など、建設業をよく理解するスタッフが多く在籍していることが強みです。そうしたスタッフがシステムをより使いやすく向上させ、ユーザーの困りごとの解決に焦点を当て、サービスを企画、提供しています。ソフトウェアを提供するだけの企業と異なり、業界を熟知する会社ならではのサポートを行い、導入から効果を出すところまでしっかり寄り添います。ユーザー向けの講習会や学習用ビデオなども用意しており、きちんと効果を出せる環境づくりを進めています。

 今後10年の目標は、電子商取引は既に成熟していることを踏まえ、電子契約、電子請求を拡大拡充させ、合計で220万件まで普及させることです。そのためにも、地域建設企業に使っていただき、電子商取引と電子契約の裾野を広げたいと思います。また、そうしてもらえるように、システムをブラッシュアップしていきます。




トピックス
7万件の基本契約を電子化/基本契約締結サポートサービス

 民法を制定してから約120年が経ち、社会経済の変化に対応するため、2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が、20年4月1日に施行されました。

 民法には契約等に関する最も基本的なルールが定められ、この部分は「債権法」などと呼ばれます。この改正により企業間で締結する契約に大きく影響が出ています。

 19年12月に開いた中央建設業審議会では、建設工事標準請負契約約款の改正を決定し、その実施を勧告しました。

 その結果、建設工事標準請負契約約款の改正により、多くの元請企業と下請企業間で締結されている基本契約を更新する必要があります。締結事務費をいかに効率化するかが求められるため、当社は電子契約サービスを利用した「基本契約締結サポートサービス」を19年12月から提供し、20年度までに7万件の基本契約書締結を電子化する予定です。

 なお、新規の下請企業との基本契約の締結にも引き続き利用してもらえるよう、継続してサービスを提供します。

 「基本契約締結サポートサービス」で利用する電子契約サービスは、「建設業法第十九条」並びに「建設業法施行規則第十三条」の技術基準に適合したサービスであることを18年に国土交通大臣より確認されており、安心して利用いただけます。

 基本契約書の電子化のサービスには▽下請企業情報、メールアドレス情報の収集と活用▽基本契約締結のスピード化▽元請企業、下請企業ともに印紙費用が不要▽下請企業の費用負担なし–の4つのメリットが挙げられます。

CECTRUST-Light/国内電子契約のトップランナー

 電子契約とは、これまで企業間で取り交わしていた押印による書面契約を電子的に行うもので、契約文書(PDF)に電子署名(本人性担保)・タイムスタンプ付与(非改ざん性担保)を行い、インターネットを利用して相互に取り交わし、サーバー上に原本として長期間保管するものです。

 メリットはコスト削減と稼働効率化があげられます。印紙税が不要になり、紙、郵送、保管費用などもかかりません。契約締結業務の稼働面でも印刷、製本、押印などが不要となり、インターネット環境とパソコンがあれば、すぐに契約締結が可能になります。

 当社は2002年から約20年にわたり国内電子契約市場のトップランナーとして、安心・安全な電子契約サービスを提供し続けてまいりました。長年のノウハウ・知見をいかし、19年3月から新たにサービスを開始したのが「CECTRUST-Light」電子契約サービスです。業界業種問わず現在約4000社にご利用いただいております。

 契約当事者が電子証明書を利用して電子署名する当事者型の電子契約サービスのため、安心してご利用いただけます。WEBブラウザ上の電子署名が可能なリモート署名方式も採用し、昨今求められる在宅環境・リモート環境の契約締結業務も実施可能な利便性を兼ね備えます。

 また、取引先に費用負担がかからないプランを用意しているため、取引先に電子契約の利用を誘いやすく、契約書の電子化比率を飛躍的に高めることが可能なサービスと言えます。詳細なサービス内容は、当社までお問い合わせください。
 サービス紹介ページ〈http://www.construction-ec.com/cectrust-light/landing-page/
 問い合わせは〈http://ciweb.construction-ec.com/contact/




歩み


■創設期
 コンストラクション・イーシー・ドットコムは2000年8月、NTTデータ、大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、日本オラクルが出資して設立された。02年からすべての企業の契約業務に対応できる「CECTRUST電子契約サービス」、建設産業界のEDIに対応した「CIWEB電子商取引」の2つのサービスを精力的に展開した。その当時、電子契約の利用は遅々としたものであったが、CIWEBは04年に5000社、CECTRUSTは08年に2000社を超えた。

■充実期
 両サービスとも株主各社と連携し、利用が拡大。CECTRUSTは暗号アルゴリズムの強化を国内で初めて実施し、常に信頼される電子契約を実現しながら利用形態の多様化などに対応した。
 CIWEBは、ヘルプデスクの充実や発注者別の操作性の向上等、受注者が利用するサービスの充実に傾注してきた。2012年の本社移転の際にはCIWEBの操作講習会を常設。実機を使った講習で好評を得ている。建設業界の電子商取引普及を受け、発注者が利用する「調達サイト」「支払通知サービス」を開始した。さらに、放射線量を把握・管理する「統合線量管理サービス」も提供開始した。

■展開期
 電子契約の開始から10数年が経ち一般化してきた。信頼される電子契約を第一に展開したCECTRUSTは、電子証明書を利用する形態は維持しつつ、利便性に富んだ「CECTRUST-Lightサービス」へと発展した。
 CIWEB関係では、周辺の電子化にも取組んだ。その1つが改正民法施行に対応した「基本契約締結サポートサービス」である。取引先の企業情報の収集と電子契約を組合わせ、短期間の基本契約締結に貢献する。もう1つが「CEC-Q請求サービス」だ。CIWEBは契約がある取引が対象だが、CEC-Q請求サービスは契約なし取引の請求書の電子化に対応した。両者を利用することで、すべての請求を電子データでやり取りできる。今後は当社が保有する各種のサービスを組合せ、業務の電子化に貢献する。




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