【ドローン測量の品質向上へ】貝塚市とDSERO レーザー測量の精度検定設備を新たに整備 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【ドローン測量の品質向上へ】貝塚市とDSERO レーザー測量の精度検定設備を新たに整備

 大阪府貝塚市とドローン測量教育研究機構(DSERO)が、ドローン操作場「貝塚市立ドローン・クリケットフィールド」にレーザー測量の精度検定設備を新たに整備した。自治体による設備の常設は全国でも初で、検定結果の信頼性確保と実施企業の負担軽減を狙う。既存の写真測量の精度検定設備と併せて、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)の普及促進を図る。

ドローン・クリケットフィールド


 同施設の場所は貝塚市橋本1517。全体面積約7haを人口集中地区(DID区域)外の飛行エリアとしている。ドローンの充電や休憩が可能な管理棟や30人を収容する研修施設も備え、大人数での研修目的にも対応できる。関西空港から車で約25分、阪神高速4号湾岸線と阪和自動車道の貝塚ICから車で約10分、JR和泉橋本駅、水間鉄道名越駅から徒歩で約20分とアクセス面も良い。

 施設は2018年4月に開所し、同5月にDSEROとの共同で写真測量用の検定設備を設置した。その後レーザー測量需要の高まりと施設の高度利用を目的に、新たにレーザー測量用の設備を5カ所整備し、21年2月1日には開所式を開いた。基準点と配置は国土地理院が規定する規格に準拠しており、検定の客観性を保証する。

ドローンレーザー測量基準点


 国土地理院は「UAV搭載型レーザースキャナを用いた公共測量マニュアル」の中で、機材を使用する6カ月以内に精度試験の実施を標準規定としている。DSERO所属の西川啓一iシステムリサーチ代表取締役は「これまでの精度検定は機材を使用する企業が独自に設備を整えていた。しかしこの作業には半日を要すこと、また計測対象の公表義務がないことから検定結果の客観性を保てないなどの課題があった」と説明する。

 今回、国土地理院の認可を受ける設備を常設したことで、同施設はこれらの課題を解決する。利用者はドローン機材を持ち込めばすぐに検定でき、結果の客観性も確保する。

 検定では、5カ所の標定点の座標をレーザーによって計測し、事前に設定された基準値と比較することで精度を割り出す。飛行ルートをあらかじめプログラムしておけば、計測時間は10分ほどで終えることができる。貝塚市の藤原龍男市長は「車検場のような感覚で使ってもらえれば」と利便性を強調する。

 写真・レーザー測量の両面で精度検定を実施する設備を整備したことで、今後の利用者増加も見込む。

 西川氏は「写真測量は対象の視覚的な情報の読み取りを得意とし、レーザーは構造や変化の計測に適している。両方をうまく組み合わせることで、複雑な地形や構造物を正確に測量できる」と述べる。

 市によると、施設は18年の開所から現在まで約90回の使用実績があり、企業を始め専門学校や自治体などが利用した。担当者は「今後も情報発信を続け、多くの方に知ってもらうことで利用の増加につなげたい」と期待する。

 DSEROの大西有三代表理事は2月の開所式で「機器を正確に検査する施設の整備は、ドローン測量の品質向上に直結し、ひいては業界全体のデジタル化にも貢献する。客観的な数値で検定成果を出せる施設の整備は意義がある」と意気込みを語った。



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