【i-Con大賞優秀賞受賞】起工測量からデータ納品まで 丸運建設がICT活用で得られたもの | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【i-Con大賞優秀賞受賞】起工測量からデータ納品まで 丸運建設がICT活用で得られたもの

 丸運建設が施工した「一般国道403号小須戸田上バイパス舗装工事」での取り組みが、国土交通省の2020年度i-Construction大賞工事・業務部門の優秀賞に選ばれた。新潟市発注の舗装工事として初めて、起工測量からデータ納品まで一貫してICTを活用。施工日数の短縮や品質の確保に大きく寄与したほか、休日確保にもつながった。

測量データ


 同工事は、市が新潟県と連携して整備してきた小須戸田上バイパスの市側最終区間の舗装を新設した。延長は1167mで上層路盤、基層、表層の施工などを手掛けた。工期は19年9月12日から20年3月13日まで。

 起工測量にはTLS(地上型レーザースキャナー)を活用し、人員、作業日数を従来手法と比べて削減した。作成した3次元設計データを利用し、上層路盤の施工にはMC(マシンコントロール)グレーダーを導入。丁張が不要となり、大幅な効率化を実現した。路盤材は最大粒径25mmのものを使用したが、上層路盤工の基準高は最大・最小値がプラスマイナス10mm以内、平均値がプラスマイナス5mm以内と高い精度を確保した。

MCグレーダーによる施工


 表層の出来形管理では、同社として初めてTLSによる面管理を実施した。現場所長を担当した小倉雄一舗道部新潟工事事務所課長代理は「従来の測点管理とはちがい舗装範囲を全数管理しなければならない。地盤などが異なる中で難しかった」と振り返るが、TLSの活用で出来形の測定やデータ整理にかかる日数の縮減につながった。「将来の舗装修繕にデータが活用できる」(小倉氏)ことも利点に上げる。

小倉課長代理


 ICTの活用により、起工測量から施工にかかる合計日数は従来と比べ2割(7日)短縮した。その結果、休日確保にも寄与し、同工事では完全週休2日を達成。小倉氏は「より大きな現場でICTを活用すると、もっと効果があるのではないか」と見る。

 発注者向けの現場見学会を開くなど、ICT活用の効果の周知にも努めた。一方、MCグレーダーの操作は「従来機の経験があって初めて効果が発揮できる。MCでも経験が必要だと感じた」という。

 小倉氏は今回の受賞について「現場を担当した市監督員の協力があったからこそ。舗装工事は受賞事例が少なく目新しさもあったのではないか。うれしく思う」と喜びを語る。

 同社は09年から舗装関連工事でICT建機の活用を進めてきた。20年にはMCのグレーダーを1台導入し、積極的な活用に取り組む考えだ。担い手確保に向けた働き方改革が喫緊の課題となる中、休日確保の両輪となる生産性向上に向けて、さらなるICT活用を推し進めていく。



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