【地質調査で初受賞】3次元モデルで地質を正確把握 興和がi-con大賞工事・業務部門優秀賞 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【地質調査で初受賞】3次元モデルで地質を正確把握 興和がi-con大賞工事・業務部門優秀賞

 興和が手掛けたR1信濃川下流地質調査業務での取り組みが、国土交通省による2020年度i-Construction大賞工事・業務部門の優秀賞に輝いた。地質調査業務では初の受賞となる。3次元地盤モデルを活用して河道掘削個所の正確な地質の把握を実現したほか、設計や施工など調査以降の工程にも3次元モデルの有効性が寄与した。

 北陸地方整備局信濃川下流河川事務所発注の同業務では、信濃川下流域で進めている河道掘削で発生する土砂の分布状況や土質特性を確認し、他事業に利用可能な土砂や改良が必要な土砂などを把握するため、掘削予定個所の地質調査を実施した。主任技術者を務めた眞島淑夫調査部部長代理は、今回の受賞について「驚きとともにうれしく思う。発注者の力添えがあってのことであり、大変感謝している」と謝意を表する。

河道掘削の検討範囲


 現地での機械ボーリングやスクリュードライバーサウンディング試験などによる調査結果や点群データを活用して3次元地盤モデルを作成。粘性土と砂質土の分布を視覚的にもわかりやすく表現した。眞島氏は「掘削したときにどのような土が露出するかなどは、3次元モデルの方がよりイメージしやすい」と話す。

作成した3次元地盤モデル


 「発注者からは他事業に利用できる土と、そうではない土を正確に把握することが求められた」(眞島氏)が、2次元の地質断面図による従来法と比べ、土砂の分布状況と土砂量を精度良く把握した。

 加えて、3次元モデルは「調査以降の工程に有効活用できる」(眞島氏)ことも利点の1つ。粘性土は柔らかく施工機械が乗った場合に不安定となる恐れがあるため、3次元モデルを活用することで施工段階での危険個所の把握にもつながる。また、「掘削個所を変更する際の判断にも3次元モデルが活用できる」(眞島氏)という。

 眞島氏は3次元データの作成について「機械的にできる個所もあるが、技術者の(経験に基づく)判断が求められる個所もある」と説明する。現在、調査部門で3次元データを取り扱える人材は少ないが、今後はそのスキルを備えた人材を増やしていきたい考えだ。

 また、現地調査の機械ボーリングなどは作業員の負担も大きい。眞島氏は「現地調査はアナログな部分もある。そうした作業もi-Conの一環として効率化できれば」と展望する。

 同社ではTLS(地上型レーザースキャナー)やUAV(無人航空機)で取得した点群データから盛土の動態観測などを試行したほか、施工部門でのICT活用も着実に進んでいる。今後もi-Conのさらなる進展を見据え、積極的なICT活用を加速させていく。

眞島部長代理



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