【第32回JSCA賞】作品賞は追手門学院ACADEMIC-ARK/新人賞は丘の礼拝堂 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【第32回JSCA賞】作品賞は追手門学院ACADEMIC-ARK/新人賞は丘の礼拝堂

 日本建築構造技術者協会(JSCA、常木康弘会長)は、第32回JSCA賞の受賞者を決めた。作品賞には「追手門学院ACADEMIC-ARK」を手掛けた永山憲二氏(三菱地所設計)、新人賞には「丘の礼拝堂」の荒木美香氏(荒木美香構造設計事務所)がそれぞれ選ばれた。今回は応募件数は作品賞が17件、業績賞はゼロだった。奨励賞は該当なしとした。22日の総会で表彰する。

 追手門学院ACADEMIC-ARKは、新キャンパスのアイコンとなる建物として計画された。「現実空間だからこそできる人の活動が見える建築」をコンセプトにした、角部の大きな跳ね出しが特徴になっている。建物接地面積を減らすことが埋蔵物調査期間を短縮できる有効な解決策の1つと考え、角部の大きな跳ね出しと、1階中央部の無柱化による、大幅な基礎面積(建物接地面積)軽減を提案した。
 新たな試みを積極的に組み入れ、各要素のバランスを取りながら建築の構造を成立させ、意匠の目指す空間を実現している点などが高く評価された。

作品賞:追手門学院ACADEMICーARK/永山憲二氏


 丘の礼拝堂は、外形が10m四方×高さ8mの平屋の木造礼拝堂。10mのスパンであれば、一般にはトラスなどを使って内部の無柱化を考えるが、あえて構造体を存在させ、システムとディテールを追求することで意匠化するという「逆の発想」で既視感のない内部空間を実現させた。新しい構造に挑戦する熱意と創造性、それを実現するための大胆さと緻密さが高評価を得た。

新人賞:丘の礼拝堂(©Yousuke Harigane)/荒木美香氏


 作品部門は17件の応募の中から9件を現地審査対象に選定した。うち1件はコロナ禍で審査の機会が得られず辞退したため、8件を現地審査した。辞退した1件は次回の現地審査対象とした。

 応募者を年齢別に見ると、30代と40代がともに8人、50代が1人で若手の応募比率が高かった。応募作品の用途は、学校、図書館、複合文化施設など多岐にわたり、公共施設と近年増加傾向にある木造、一部木質化を試みた作品が過半を占めた。

 受賞作品の概要は次のとおり((1)所在地(2)建築主(3)設計監理(4)施工者(5)構造・規模(6)用途)。
 〈作品賞〉追手門学院ACADEMIC-ARK=(1)大阪府茨木市(2)追手門学院(3)三菱地所設計(4)竹中工務店(5)S・SRC造5階建て延べ2万0409㎡(6)学校。
 〈新人賞〉丘の礼拝堂=(1)長崎市(2)メモリード(3)設計監理は百枝優建築設計事務所、構造設計は佐藤淳構造設計事務所(荒木美香氏)(4)勇信建設(5)木造平屋建て125㎡(6)礼拝堂。