日本建築構造技術者協会(JSCA、小林秀雄会長)は、第35回JSCA賞の受賞者を発表した。作品賞には「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」を手掛けた九嶋壮一郎氏(竹中工務店)が輝いた。奨励賞には「オーテピア/高知新図書館等複合施設」の渡邊朋宏氏(佐藤総合計画)と「Port Plus大林組横浜研修所」の百野泰樹氏(大林組)を選んだ。新人賞は該当者なしとした。18日の総会で表彰する。
作品部門には22件の応募があり、10件を現地審査した。業績部門は3件の応募があったが、ヒアリング対象なしとなった。作品部門の応募者を業態別に見ると、構造設計事務所5件、総合設計事務所10件、建設会社7件だった。
山田憲明JSCA賞委員会委員長は「受賞作品は質、技量はもちろんのこと、現地審査時の作品説明や質疑応答のスキルが際立っていた」と総評した。
大阪梅田ツインタワーズ・サウスは、L型低層部の片側に高層部が載る形状。低層部をエキスパンションジョイントで接続するのではなく一体化したことが、駅前のシンボルとなる迫力を生み出した。ファサードのアルミパネルの設計にも参画し、デザインしたことも高評価だった。
オーテピア/高知新図書館等複合施設は、日本初の県と市の合築図書館。書庫をフロア中央に配置し、開架スペースで囲むプランで、書架間に耐震ブレースを組み込んだ新たな図書館空間の在り方を追求した。
Port Plus大林組横浜研修所は、日本初の高層純木造建築で、地上高さ約45mの主要構造部である柱、梁、床、屋根の全ての構造部材に木質材料を使った。純木造による従来にない高層建築の構造設計を主体的にとりまとめた点を評価した。
受賞作品の概要は次のとおり((1)所在地(2)建築主(3)設計監理(4)施工(5)構造・規模(6)主要用途)。
<作品賞>
▽大阪梅田ツインタワーズ・サウス=(1)大阪市北区梅田1-13-1(2)阪神電気鉄道、阪急電鉄(3)(4)竹中工務店(5)S・CFT・SRC造地下3階地上38階建て塔屋2層延べ25万9372㎡(6)百貨店、カンファレンス、オフィス。
<奨励賞>
▽オーテピア/高知新図書館等複合施設=(1)高知市追手筋2-1-1(2)高知県、高知市(3)佐藤総合計画+ライト岡田設計(4)大成建設・ミタニ建設工業・有生JV(5)S・PRC・SRC造地下1階地上9階建て延べ2万3760㎡(6)図書館、博物館、駐車場。
▽Port Plus大林組横浜研修所=(1)横浜市中区弁天通2-22、23(2)(3)(4)大林組(5)木・RC造地下1階地上11階建て延べ3502㎡(6)研修所。
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