【第34回JSCA賞】奨励賞に福田、宇田川両氏、新人賞は黒川氏 | 建設通信新聞Digital

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【第34回JSCA賞】奨励賞に福田、宇田川両氏、新人賞は黒川氏

嘉麻市庁舎 (撮影:八代写真事務所)


 日本建築構造技術者協会(JSCA、常木康弘会長)は、第34回JSCA賞の受賞者を決めた。奨励賞に『嘉麻市庁舎』の福田光俊氏(久米設計)と『天草市複合施設「ここらす」』の宇田川貴章氏(日建設計)の両氏、新人賞には『早稲田大学本庄高等学院体育館』の黒川巧氏(日建設計)がそれぞれ選ばれた。作品賞と業績賞は該当なしとなった。21日の総会で表彰する。

 今回は作品部門に13件の応募があり、6件を現地審査した。業績部門は3件の応募があったが、ヒアリング対象なしとした。作品部門の応募者を業態別に見ると、専業設計事務所2件、総合設計事務所7件、建設会社4件で、例年に比べて専業事務所の応募が少なかった。

 審査に当たった山田憲明JSCA賞委員会委員長は「応募作品はいずれも粒ぞろいだったが、作品賞の規則にある『極めて優れた作品』として、誰が見ても圧倒的な作品はなかった」とした上で、「規模やコストの大小はあってもJSCA賞はパウンド・フォー・パウンドの精神で構造技術者の創意工夫と作品、業績を評価する。選考委員との質疑を通した議論は構造技術者としての向上の糧となる」として、次回以降の積極的な応募を促している。

 嘉麻市庁舎は、扁平(へんぺい)な柱梁で構成したRC造打ち放しのアウトフレームが環境調整機能の役割を果たすとともに、彫刻的な外観を創出する。意匠・構造・環境の全てが統合的かつコンパクトに計画された秀作として評価された。

天草市複合施設「ここらす」 (撮影:太田拓実)


 天草市複合施設「ここらす」は、天草市産のヒノキやスギの一般製材を使ったカテナリー形状の重ね透かし梁を独自に考案し、曲げ剛性を持つつり屋根に採用した。2階の魅力的な図書空間を創出するなど、設計者が自ら行動してディテールを考案し、優れた建物を実現したと高評価を得た。

 早稲田大学本庄高等学院体育館は、ダブルスキンの外周RC造壁と鉄骨造斜交格子梁の屋根構造で構成された、コンクリートの箱が宙に浮かんだような外観が特徴。目地なしコンクリート打ち放しの追求や意匠・空調・開口離隔距離のシミュレーション用プログラムの開発など、自身の経験とスキルを生かした取り組みは、新しい構造設計者像を感じさせると評価された。

 受賞作品の概要は次のとおり((1)所在地(2)建築主(3)設計監理(4)施工(5)構造・規模(6)主要用途)。
 <奨励賞>
 ▽嘉麻市庁舎=(1)福岡県嘉麻市岩崎1180-1(2)嘉麻市(3)久米設計(4)淺沼組(5)RC一部S造6階建て延べ9652㎡(6)市庁舎▽天草市複合施設「ここらす」=(1)熊本県天草市浄南町4-15(2)天草市(3)日建設計(4)吉永産業・金子産業・大昌建設JV(5)RC・S・木造(屋根)2階建て延べ5452㎡(6)図書館。

 <新人賞>
 ▽早稲田大学本庄高等学院体育館=(1)埼玉県本庄市栗崎字西谷239-1、3(2)早稲田大学(3)日建設計(4)戸田建設(5)RC一部S造3階建て延べ4465㎡(6)高等学校の体育館。

早稲田大学本庄高等学院体育館 (撮影:阿野太一)




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