【医薬品製造設備開発進む】エネ8割削減を確認 NEDO、高砂ケミカル、大成建設など | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【医薬品製造設備開発進む】エネ8割削減を確認 NEDO、高砂ケミカル、大成建設など

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、高砂ケミカル、田辺三菱製薬、コニカミノルタケミカル、横河ソリューションサービス、テックプロジェクトサービス、大成建設、島津製作所、三菱化工機、産業技術総合研究所の10者は17日、開発を進めている医薬品製造設備の生産方式が、従来の主要な方式と比べ、約8割のエネルギー削減が見込めることを確認したと発表した。また、廃棄物も、従来比3-4割の削減を見込んでいる。

実用化に向けて開発を進めるiFactoryのモジュール(左)と自動分析装置


 今後はプロトタイプの製作と実証を進め、日本の医薬品製造での省エネルギー化、生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化を目指す。医薬品製造設備の普及に向けては、試作のモジュール、分析装置、制御システムなどを産総研の事業所に展示し、企業関係者を中心に公開する予定。

 開発しているのは、現在のバッチ式製造法にかわり、連続合成法とバッチ式製造法を組み合わせたバッチ連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」(アイファクトリー)。NEDOが取り組む「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」の一環で技術開発を進めている。

 大成建設は、再構成可能なモジュール型「バッチ連続式ろ過乾燥機」と「連続充填装置」の開発、iFactoryの「建屋・用役システムの構築」を担っている。

 バッチ式製造法は、医薬品や化成品、精密化学品などの化学製品の主要な生産方法。すべての原料などを反応釜に投入し、物質の反応がすべて終了した後に生成物を取り出す。これを繰り返すことで化合物を合成する。

 医薬品に使う高機能化学品の多くは、バッチ式製造法によって製造しているが、生産に伴い発生する廃棄物の量やCO2量の削減と「必要なモノを必要な時に必要な量だけ」つくる「オンデマンド生産」への適応が課題となっていた。このため、iFactoryの開発を2018年度から始めた。

 これまでの検証では、バッチ連続型プロセスで実際に製造した医薬・ファインケミカルズ関連3品目の洗浄・濃縮・晶析・ろ過が、1時間当たり10㎏の生産速度で、8時間連続して稼働できることを確認した。生産工程の1つである「ろ過」を連続方式にすることで、一般的なバッチ方式の装置と比べ、8時間稼働で78%、連続反応器による反応工程に導入した連続方式の設備で84%に相当するエネルギー削減効果が得られることも分かった。

 また、連続化による洗浄溶剤の使用量や切替洗浄の回数を大幅に軽減し、従来のバッチ方式で製造した医薬・ファインケミカルズ関連3品目で30―40%の廃棄物削減効果が見込める結果も得た。

 生産の効率化では、工程の組みかえを容易にするモジュール構造・制御システム・電気系統、モジュール間をつなぐ配管の共通化による接続性の向上と設備更新時のコストを低減している。各生産工程の品質を担保する分析作業でも、これまで薬液を採取し人の手による品質確認をしていた工程が、防爆形の自動サンプル採取を備えた自動分析装置の開発・導入により省人化できた。


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