【大容量DXデータセンター開発】次代担う実験フィールドを準備 国総研 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【大容量DXデータセンター開発】次代担う実験フィールドを準備 国総研

 インフラDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一翼を担う国土技術政策総合研究所(つくば市)で次代の建設技術の底上げにつながる前例のない取り組みが始まっている。未来の遠隔臨場の研究開発などが可能な建設DX実験フィールドの整備・活用とともに、1PB(ペタバイト)の容量を持つDXデータセンターを開発している。

つくば市の国総研敷地内に整備した実験フィールド


 産官学による利用を想定する実験フィールドは、貸し出しの準備を進めており、月内にも募集概要を公表する予定だ。 無人化・自律施工による安全性・生産性の向上に向けて国総研と土木研究所が連携して取り組んでおり、共通の研究開発の場として実験フィールドの整備を進めてきた。

 これらの施策を担当する国総研の岩崎福久社会資本マネジメント研究センター長は「デジタルデータを活用して、仕事の中身、働き方を変えていく『監督検査業務の変革』がある。さらに先を見据えて省人化・非接触のための技術開発が期待されている。その中で、出来形検査・配筋計測や遠隔検査技術の研究開発などに使ってもらうのが実験フィールドだ」と整備の意義を強調する。

 先進的な通信環境を導入した遠隔操作・無人施工の性能検証や定置式水平ジブクレーン・システム型枠を使ったコンクリート工の全体最適化に関する研究、構造物の3次元データの自動取得・自動生成技術の研究開発なども計画している。面積約1万8000㎡の実験フィールドには実物大の各種模型施設やローカル5G(第5世代移動通信システム)の設備を備えた先端建設機械実験フィールドを設けている。

 国土交通省自らが活用することも想定するが、産学を含めた活用・連携も想定している。現在、貸し出しのルールづくりなどを進めている。

 データセンターについては「これだけ大容量のデータを扱うことは国交省としても初の取り組みになる」という。直轄の工事・業務の3次元データ(BIM/CIMデータ)を一元管理し、受発注者間で共有することが大きな目的だ。

 岩崎センター長は「今年度は国交省内の利用にとどまるが、来年度以降は受発注者協議などで使うことになるだろう。情報を集約することで業務の高度化につなげられるはず」と考える。

 計画立案から調査・計画、設計、施工、維持管理という一連の公共事業の利用にとどまらず、例えば災害対応への利用も見据え、「迅速な復旧工法の検討などに役立つ。そうした作業を自動化できる可能性もある」という。

 ただ、こうした将来像を視野に入れながらも「まずは地に足を付けて、BIM/CIMをしっかりと進めたい」と続ける。国交省が主導するサイバー空間上に国土を再現するインフラ・データプラットフォームの施策展開なども紹介しながら、「新たな技術政策を提案していくことがわれわれの役目だ。この意識をしっかりと持って業務を進めたい」とし、データに“魂”を注ぐ仕事にまい進する考えを示す。 



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