【i-Con2021①】"インフラDX"を推進 建設現場の変革後押し/中小建設業への普及促進 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

B・C・I 未来図

【i-Con2021①】“インフラDX”を推進 建設現場の変革後押し/中小建設業への普及促進

 国土交通省が推進するi-Constructionは、直轄工事における生産性向上を実現し、各地域の工事に波及している。最新のデジタル技術を駆使するデジタルトランスフォーメーション(DX)も進捗し、建設現場の各業務を変革する“インフラDX”として受発注者双方で加速している。コロナ禍の中、感染症対策としても注目され、建設現場の遠隔化・自動化などの技術の開発、導入が進むi-Constructionの最前線を紹介する。


国土交通省技監 山田 邦博氏に聞く

――i-Constructionの進捗状況は
 「2016年にi-Constructionを開始して6年目に入った。この間、調査測量、設計、施工、管理の各工程でICTの活用を進めるとともに発注平準化や基準類の整備・標準化などに取り組んできた。直轄のICT活用工事は8割が実施され、土工では延べ作業時間の3割縮減を実現するなど目に見える効果が表れている」
 「今後は地方公共団体や中小建設業への普及拡大が目標だ。小規模工事におけるICT施工の導入をフォローするとともに簡易型ICT活用工事を拡大するなど、地域建設業が取り組みやすい環境を整備する必要がある。人材育成の場として直轄工事のフィールドを提供するほか、i-Construction大賞で好事例を表彰するなど機運を盛り上げたい」
 「地方公共団体や中小企業が、われわれにしてもらいたいことを探るため、都道府県や市町村へのアンケートも実施した。課題を整理した上で順番に対応していく」

――地方への普及拡大に必要なことは
 「ICT施工は16年度の土工を皮切りに主要工種から順次拡大し、19年度までに7工種に導入した。20年度は地盤改良工、法面工、舗装工、基礎工・ブロック据え付けの4工種で開始し、21年度は構造物工、路盤工などに拡大する予定だ。小規模施工の積算基準の対応や、簡易型ICT活用工事の導入を進めるとともに、ICT施工が未経験の企業にアドバイスしていく」
 「20年度から、NETIS(新技術情報提供システム)などに登録した新技術の活用も原則義務化した。これまで建設業界と関わりが少なかった他産業の技術の積極的な活用にもつながり、新技術のマーケットも活性化する」
 「デジタルデータをフル活用するi-Constructionモデル事務所の成果も広く展開する。北陸地方整備局信濃川河川事務所のBIM/CIM活用では、大河津分水路改修事業で複数の工事や業務の情報を一元化した3次元モデルを作成し、施工情報を蓄積している。過去の情報を簡単に理解できるため現場の担当者が入れ替わっても手戻りなく仕事を進められる」
 「3次元データは災害復旧にも有効だ。土木は『経験工学』のため、デジタルデータで経験知を蓄積し、展開していきたい」

――コロナ禍で建設現場はどう変わりますか
 「このコロナ禍を乗り切るには、デジタルトランスフォーメーション(DX)が切り札になる。DXとi-Conは重なるところがあり、コロナ対策として『非接触』『非対面』をキーワードにさまざまなデジタル化が進められている。i-Conの一部としてバックオフィスも含む非接触化を進め、安全な環境で仕事をすることも重要で、働き方改革にもつながる」
 「国交省もインフラ分野のDX推進本部を設置し、データとデジタル技術を活用して業務そのものや組織、プロセス、建設産業や国交省の文化・風土や働き方の変革を進めている。行政手続きや書類のデジタル化も拡大する」
 「一方、新技術の活用という大上段に構えた生産性向上だけでなく、現場における地道な工夫の積み重ねに継続して取り組むことも重要だ。発注者とコミュニケーションを取りながらさまざまな工夫を現場に反映し、地に足のついた生産性向上を進めてほしい」



【BIM/CIM LIVE 2020 第4回】申し込み受付中!(参加無料)


建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら