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4月20日 土曜日

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【i-Con2022①】国土交通省技監 吉岡幹夫氏に聞く i-Con中核にDXへ発展

国土交通省技監 吉岡幹夫氏

――国土交通省が進めるインフラ分野のDXの目標は

 「国交省は2016年度から、建設現場の生産性向上を目指し、i-Constructionを進め、中でもICT技術の活用に注力してきた。現在はi-Constructionを中核に、更に発展させ、事業全体を変革させる『インフラ分野のDX』に取り組んでいる。昨年12月には斉藤鉄夫大臣を本部長とする『国土交通省DX推進本部会議』を発足したほか、22年をインフラDXでの変革に果敢に取り組む“挑戦の年”に位置付けた。今年度中にはアクションプランを策定する予定である」

 「『現場作業のできる限りの自動化・自律化』『手続きのワンストップ化』『新たなコミュニケーションの創出』の3つを柱に各整備局と連携して取り組みを推進する」

――ICT施工の21年度の実施状況と22年度の展望は

 「ICT施工は、インフラDXの中でも中心的コンテンツとなる。直轄では公告する対象工事の約8割で実施されているが、地方自治体は約3割に満たない状況のため、どう裾野を広げるかが課題だ。ICT施工を経験した中小建設業者は受注企業全体の半分にとどまるため、活用するための土壌づくりが重要になる。そのため小規模現場での導入が必要であり、22年度から都市部や市街地の狭小個所に対応した小型のマシンガイダンスバックホウによる安価なICT施工を可能にする。ICT建機の認定制度も創設するほか、スマートフォンなどで簡便に出来形管理を可能とすることで、自治体や中小建設業者が積極的に取り組める環境整備を進める」

 「また全国に13あるi-Constructionモデル事務所では先進的な取り組みを進めている。例えば北陸地方整備局信濃川河川事務所の大河津分水路では、設計・施工にBIM/CIMを導入するだけでなく、地域づくり協会や地元のコンサルを巻き込み、整備の歴史を3次元で再現するプロジェクトも実施し、住民とのコミュニケーションに活用している。有用な取り組みはモデル事務所でけん引し、水平展開していきたい」

――コロナ禍やデジタル庁発足などの環境変化に合わせ、どのようにDXを推進するか

 「現場では多くの人と調整しながら仕事が進められているが、できるだけ接触を減らすため、リモート化が求められている。カメラ、ウェブを利用した遠隔臨場は20年度に760件、今年度は1800件の試行を予定している。22年度には制度実装し、取り組みを拡大していく」

 「岸田文雄総理が提唱するデジタル田園都市国家構想の全国への5Gネットワーク展開は、建設分野でも活用していきたい。 デジタル庁へは、地図などの共通基盤の構築、データ通信の全体構想の構築、デジタル人材の相談窓口などを期待している」

――現場から得られるデータをどう利活用できるか

 「DXで大事なことに、単に電子化するだけでなく、集まったデータを有効に活用することもある。国民や受発注者間の資料提出や手続きのペーパレス化、オンライン化で行政手続きを効率化するほか電子納品した施工データなどを維持管理に活用していきたい」

 「集まったデータはプラットフォームなどに一個所に集め、国交省だけでなく、自治体や民間の方も活用できるようにする。逆に自治体や民間が保有するデータを提供してもらい、官民のデータを蓄積することでさらなる発展につなげ、政府全体で推進するデジタル社会の実現に貢献していきたい」



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