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4月29日 月曜日

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【記者座談会】インフラDXの新体制整備/第14次労働災害防止計画がスタート

【知識・経験共有、組織横断し業務変革を推進/死亡者数、27年までに22年比15%以上減少】

A 国土交通省が「インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)」で新たな方向性を打ち出した。

B 「分野網羅的」と「組織横断的」の二つの視点で、デジタル技術を活用した業務変革を強力に進める。特に重視するのは後者だ。部局ごとにインフラ分野のDXを進めてきたことから、各部局に蓄積された知識・経験が省全体に共有されず、取り組みが非効率だったとの課題認識が背景にある。

C 2022年4月に策定した第5期国土交通省技術基本計画は、20-30年後の社会イメージ例に六つを掲げる。その実現に向けては、インフラ分野のDXの加速化も必要と判断した。

A どうやって組織横断を実現するのか。

D 統括ポストの官房参事官(イノベーション)を新設し、その下に各部局が有する知識・経験を集積する体制を4月1日付で整備する。参事官は、技監を本部長とする「インフラ分野のDX推進本部」の事務局で中心的な役割を担う。これにより、推進本部が同じデジタル技術を活用している部局の担当者を集めた打ち合わせを定期的に開き、各施策への適用に当たって共通する技術的課題を特定するなど、新たな取り組みを始める。

C 初代の参事官には、機械畑を主に歩んできた森下博之九州地方整備局企画部長が就任した。

A 今後の展開は。

B インフラ分野のDXアクションプランを改定し、第2版として8月までにまとめる方針だ。推進本部長の吉岡幹夫技監は、建設業が新3K(給与・休暇・希望)の実現を目指す中、国交省職員自らが変わる姿を見せる必要があると話している。

D インフラ分野のDXによって業務変革が進めば、建設現場の生産性向上だけでなく、建設業のイメージ改善も期待できるね。

DXにより業務変革が進めば、生産性向上だけでなく、建設業のイメージ改善も期待できる

A 話は変わるけど、第14次労働災害防止計画(14次防)がスタートするね。

E 計画期間は23-27年度の5年間だ。27日付で公示し、建設業労働災害防止協会などや建設業関係団体に対し、計画の推進に特段に協力するよう要請した。

F 14次防は、建設業を始めとしたあらゆる業種の中小企業が自発的に安全衛生対策に取り組むことを意識して策定したと厚生労働省の担当者が言っていた。

G 計画の柱となる重点事項は8項目ある。建設業の対策は、重篤な災害が多く発生している4業種を対象とした「業種別の労働災害防止対策の推進」の中に位置付けた。対策には、デジタル技術を活用した建設施工の自動化、自律化、遠隔化などの技術の導入に伴う安全対策、災害復旧・復興工事での労働災害防止対策の徹底、建設工事従事者の安全と健康の確保、熱中症予防等の健康障害防止対策推進などを盛り込んでいる。

A 建設業の数値目標は。

F 災防計画として初めて設定したアウトプット指標は、取り組みの実施状況を確認するもので「墜落・転落災害防止のリスクアセスメントに取り組む建設業の事業場割合を27年までに85%以上」とした。これは、建設業の労災死亡者数の約4割、死傷者数の約3割を占める墜落・転落災害を大きく減らすとの思いが込められている。

E 従来からの目標に当たるアウトカム指標は「建設業の死亡者数を27年までに22年比で15%以上減少」とした。建設業に携わる一人ひとりの取り組みによって、労災を一層減らし目標を達成してほしい。労災が大きく減れば担い手の確保にもつながるだろう。

 

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