【i-Con2022④】ネクステラス 手軽なARツールで生産性向上 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

B・C・I 未来図

【i-Con2022④】ネクステラス 手軽なARツールで生産性向上

代表取締役CEO 木下 大也氏


 2023年度のBIM/CIM原則化を背景に、現場のデジタル化にかじを切ろうとする建設会社が増えており、3次元モデリングを中心にBIM/CIMと向き合おうとする流れが強まる中、北海道で建設ICTスタートアップ企業『NexTerrace(ネクステラス)』を起業した。「顧客の近くで現場のデジタル化を後押ししたい」と話す木下大也氏に聞いた。

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――BIM/CIMを見据えた取り組みについて

 「20年11月には建設業特化型AR(拡張現実)アプリ『TerraceAR』をリリースした。3次元モデルを現況に照らし出すもので、iPhoneやiPadなどの情報端末を現場にかざすと、どのように構造物が配置されるかが確認できる。Terrace(照らす)ツールという独自の機能を搭載し、地中や水中にある見えない構造物を遠近感や立体感を保って、見たい部分を『照らし』ながら確認できるのが特徴である。北海道では、一二三北路(札幌市)が積雪時の現場管理ツールに活用するなど、手軽なARツールとして評判が広がっており、今年度に入って全国で大幅にユーザー数が増加している」

――デジタル技術を活用した最新事例は

 「こぶし建設(北海道岩見沢市)と共同開発したAI姿勢検知システム『AI’s(アイズ)』も現場目線から生まれた。重機の死角などにAI(人工知能)カメラを取り付けることで、危険な状況を察知した合図者の合図(ジェスチャー)をAIが理解し、オペレーターに知らせる補助システムとして、現場での実証実験を経て開発に至った。人がいることを警告するだけではなく、合図者が能動的に意思を発信・伝達できることが本システム最大の特徴」

 「現場ではジェスチャーによって意思を伝達する場面がたくさんある。本システムは、『人の姿勢』や『ジェスチャー』といった従来アナログであった情報をデジタル化することで、ジェスチャーコミュニケーションを効率化できる。このように、AIが画像から人の姿勢を推定することで、ベテラン作業員の動作分析など、さまざまな場面での応用に関する問い合わせも寄せられており、今後の発展性にも期待が膨らむ」

――今後の目標は

 「国土交通省はBIM/CIM原則化の先を見据え、インフラ分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)にかじを切った。今後、DXが推進されることにより、3Dトランスフォーメーション・AIトランスフォーメーションといった、より具体のデジタルシフトが重なり合って進んでいくと考えている。現場の困りごとを見極め、目の前の小さな改善の積み重ねと、わくわくするようなぶっ飛んだ発想とが織りなすハーモニーが建設DXの推進には大切」

 「調査測量・設計・施工・維持管理それぞれの現場の方々との連携を大切に、心が震えるほどのわくわくする、感動する取り組みをお客様、パートナー様とともに体現したい」



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