【洪水対応演習】各地で本格出水期前の訓練 情報収集・伝達や各水防工法を確認 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【洪水対応演習】各地で本格出水期前の訓練 情報収集・伝達や各水防工法を確認

■東北整備局
 東北地方整備局は12日、2017年度洪水対応演習を実施した=写真。同局や管内11河川事務所、21ダム管理所、東北技術事務所のほか、東北6県と関係機関などの職員ら約700人が参加し、本格的な出水期を前に本番さながらの訓練を行った。
 演習は大型台風の接近に伴う大雨により各河川の水位が上昇し、堤防が決壊したとの想定で行われた。具体的にはタイムライン(防災行動計画)に基づくホットラインによる事務所長と市町村長との情報提供・共有演習や、プッシュ型配信(緊急速報メール)の情報伝達、テレビ会議、リエゾン(現地情報連絡員)派遣などの訓練を実施した。

■中部整備局、静岡県内市町の消防本部・水防団や県警・自衛隊
 中部地方整備局などが主催する狩野川連合総合水防演習・広域連携防災訓練が14日、静岡県三島市の狩野川河川敷(メイン会場)、静岡市の清水港日の出埠頭(サテライト会場)で行われた。同県内市町の消防本部・水防団や県警・自衛隊など計約1600人が参加。洪水、高潮の発生という複合型災害を想定し、河川、道路、港湾が相互に連携して訓練した。
 メイン会場の開会式では武藤浩国土交通事務次官、塚原浩一中部地方整備局長、難波喬司静岡県副知事らがそれぞれあいさつした。
 演習は梅雨前線が停滞し広範囲で降雨が続き、過去に狩野川流域を襲った最大級の台風が接近しているというシナリオで行った。改良積み土のう工など堤防の被災に対応する水防工法の実技を実施=写真。UAV(無人航空機)を使った被災状況調査の訓練もあった。サテライト会場では、漂流者の救助、緊急物資の輸送などを実施した。

■近畿整備局、大阪府、大阪市

水防工(釜段工)の作業

 近畿地方整備局と大阪府、大阪市の3者は13日、大阪府藤井寺市の大和川右岸河川敷で2017年度大和川水防・大阪府域防災総合演習を実施した。小雨混じりの中、石井啓一国土交通相や松井一郎大阪府知事、吉村洋文大阪市長らも参加。「地域をまもれ!みんなの防災力で」をテーマに土のうづくりや情報伝達訓練など、堤防の漏水・越水を想定した実践的な水防活動と堤防決壊後の緊急排水訓練、救出・救護訓練を実施した。
 演習には、近畿整備局など国土交通省関係機関、自衛隊、警察、消防、大阪府下の建設業関係団体など49の機関・団体から約1500人が参加した。
 台風接近に伴い当日朝に総雨量100mm、昼ごろには300mmを超える大雨となり、藤井寺市河北1丁目付近の淀川右岸堤防が決壊し、大規模な被害が発生したと想定。浸水想定区域図に基づくタイムラインを実践した初めての訓練となった。大雨洪水警報発令後に準備工となる土のうづくりや、洗掘・漏水対策となる各水防工法の作業を実践した。
 水防訓練後は、堤防決壊を想定し、排水ポンプ車による緊急排水訓練、大型土のう設置による対策工訓練などが行われた。

会見する石井大臣

 訓練の視察後、会見した石井大臣は「通常、水防団が活動するのは実際に雨が降っている時で、これに近い状況の中で訓練ができた。国土交通省では大規模豪雨時に施設では防ぎきれない洪水は起こりうるという前提に立ち、ソフト・ハードが連携して、被害を最小にする水防災意識社会を再構築するための取り組みを始めた。訓練を通じて日常的に水害に対する備えをしっかりとしていきたい」と述べた。
 また、今回の演習の一環として、要配慮者の避難訓練も事前に実施した。

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