【丹下作品を利活用】旧県立体育館を市場調査 香川県 | 建設通信新聞Digital

5月15日 水曜日

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【丹下作品を利活用】旧県立体育館を市場調査 香川県

前回東京五輪に合わせて竣工。丹下健三が同時に設計した国立代々木競技場と“双子の関係”になる


 香川県は、丹下健三が設計し、和船をイメージさせる独特な外観から“船の体育館”として県民に親しまれてきた「旧香川県立体育館」の利活用に向けたサウンディング型市場調査を実施する。対象は、建築的特長を生かして改修・運営する意向がある民間事業者。参加申し込みとエントリーは9月30日まで、提案書は8月2日から10月21日まで電子メールで受け付ける。8月9日から10月29日に対話し、12月に結果を公表する。

 サウンディング調査では、▽建物や立地、周辺環境の特長を生かした施設の利活用の可能性▽具体的な建物の耐震補強・改修の考え方–などを聞き取る。体育館に限定せず、新たな機能や用途を念頭に置いた提案を求める。

 旧香川県立体育館(高松市福岡町2-18-26)は、1964年に竣工。清水建設が施工した。規模はRC造(縁梁と吊屋根はPC構造)地下1階地上3階建て延べ4707㎡。国内最初期の吊屋根構造の建築で、鉄素材を使った構造としてはブリヂストン横浜工場体育館、西条市体育館、市村記念体育館に次いで完成した。

 同じ丹下が設計した香川県庁舎東館が端正で繊細なコンクリートの表現であるのに対し、県立体育館は巨大な縁梁とそれを支える大柱から構成する量塊感あふれる力強く荒々しい彫刻的なコンクリートの造形が注目を浴びた。吊り下げられたメインケーブルが描く曲線が天井となり、天井と相似したカーブで立ち上がる観客席がダイナミックなアリーナ空間を提供する。

 しかし、施設の老朽化が進んだことや競技ルールの変更などにより公式試合の開催が困難になっていた。3回にわたる耐震改修工事の入札が不調に終わったことを受けて、耐震補強と改修に多額の経費が見込まれることを理由に2014年9月に閉館している。


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