【建築部門は豪のグレン・マーカット氏!】高松宮殿下記念世界文化賞 日本美術協会 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【建築部門は豪のグレン・マーカット氏!】高松宮殿下記念世界文化賞 日本美術協会



 日本美術協会は、世界の優れた芸術家に贈られる「高松宮殿下記念世界文化賞」の第32回受賞者を発表した。建築部門は、オーストラリアの建築家グレン・マーカット氏で、気候風土に寄り添う持続可能な建築で世界的に知られる。2002年にプリツカー賞受賞。記者会見では、建築史家・建築家の藤森照信氏が、グレン氏について、質素な工業製品を使ったモダニズム建築の主流を歩んできた建築家で、専門家の間では高い評価を得ているなどと選考理由を述べた。

グレン・マーカット氏
(Photo:Anthony Browell)



 ことしの受賞者は、グレン氏のほか、絵画部門でセバスチャン・サルガド氏(ブラジル/フランス)、彫刻部門でジェームズ・タレル氏(米国)、音楽部門でヨーヨー・マ氏(同)が選ばれた。演劇・映像部門は新型コロナウイルスの影響で候補者が条件を満たすことができず該当者なし、若手芸術家奨励制度対象団体は中央修復研究所付属高等養成所(イタリア)となった。

 グレン氏はビデオ映像で「(建築は)創造されるのではなく、発見されるのです。私は発見のためにコンピューターを敬遠してきました」などと述べ、鉛筆を使うことで潜在意識が解決策を導くと指摘する。アボリジニの「われわれは土地に軽く触れただけだ」という表現を実践しているとも語っている。

 藤森氏は「図面には克明にミリ単位の寸法や素材などを描き込み、それをたった1人でこなしている。建築の本質を捉えていることが高い評価につながっている。日本での受賞を喜ばれていると思う」と話した。

 10月に予定していた授賞式典は中止となり、4部門の受賞者には10月中に顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。


記者会見の様子




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