【BIM/CIM未来図】ウエスコ㊦ 事業所主体の連携組織に進化/3次元軸に業務の流れ構築 | 建設通信新聞Digital

5月12日 日曜日

B・C・I 未来図

【BIM/CIM未来図】ウエスコ㊦ 事業所主体の連携組織に進化/3次元軸に業務の流れ構築

 ウエスコの岩元浩二執行役員技術推進本部長は「BIM/CIMの経験値を着実に積み上げながら、組織を新しいステージに押し上げたい」と先を見据えている。同社は西日本を主体に活動しているが、2021年には横浜に営業所を新設したように、近年は徐々に東日本エリアにも事業拠点を増やし、全国展開に向けて活動範囲を拡大している。

左から草加氏、山本氏、岩元氏、冨田氏


 同社は現在600人体制。売り上げは国、府県、市町村それぞれ3分の1ずつバランスが取れているが、以前は地方自治体の売り上げ比重が大きかった。近年は技術力を引き上げながら国土交通省や農林水産省など国の業務受託を拡大してきただけに、BIM/CIMを足掛かりに国の業務受託量をさらに増やす狙いもある。

 BIM/CIM原則化は、いずれ自治体にも広がってくる。社内でBIM/CIMへの先導役を担う冨田修一技術部設計課課長は「国の動きにしっかりと対応しながら、そこで得た成果を自治体の業務につなげ、トップランナーとして展開していきたい」と強調する。将来的には各事業所が主体的にBIM/CIMに対応できる組織づくりを目指している。そのためにも計測部門と設計部門の連携強化が不可欠になる。

 同社が描くのは3次元計測を出発点に、3次元設計を推し進めながら「新たなサービス提供の流れを着実に処理できる体制の構築だ」という。それによって業務の受託量は拡大し、売り上げも増加する。3次元設計によって照査精度が向上し、ミスやクレームなど業務の手戻りも減る。景観や周辺環境に配慮した計画も提案でき、何よりも概略設計や予備設計では業務時間が短縮できるため、原価は低減し、結果として会社としての利益率も上昇する。

 BIM/CIM関連業務ではオートデスクを始め、いくつかの3次元ツールを業務内容に応じて活用している。山本正司執行役員は「いずれは全員が対応せざる得ないことは明らか。業務が変わればツールも変わる。そのためにも3次元の先導役を少しでも多く作らないといけない」と考えている。計測部門では「設計部門との連携を見据え、若手技術者が着実に3次元化に対応しつつあり、計測データをどう使うかを考えるようになった」と岡山測量課3次元計測グループの草加大輝主任は実感している。

 『未来に残す、自然との共生社会』を経営理念に置く同社は社会のあらゆる変化に柔軟に対応するため、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する技術者集団を目指している。BIM/CIMの原則化とともに、インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)化も進展しつつある。その手段としても「3次元への対応は不可欠であり、BIM/CIMをきっかけに組織としても成長していきたい」と岩元氏が強調するように、同社は計測と設計の両部門が密接に連携し合いながら力強い一歩を踏み出した。

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