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5月5日 日曜日

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【BIM/CIM未来図~構造設計のいま~】武設計(中)Revitと計算ソフトの親和性向上/図面変更への対応力増す

武設計(福岡市)の武居由紀子代表は、構造設計の業務ツールとしてオートデスクのBIMソフト『Revit』を使う中で「一貫構造計算のデータをRevitにインポートできる点がメリットの1つ」と強調する。現在の業務ではユニオンシステムの一貫構造計算ソフト『SS7』から中間ファイルのST-Bridgeを介して、Revitとデータ連携している。

Revitと一貫構造計算ソフトのデータ連携環境は年々向上しているものの、ソフトのバージョン違いなどが要因でうまく反映されない部材形状もあり、その際にはRevit側の修正とともに、並行して構造計算をやり直す手間が発生してしまう。構造計算ソフトからRevitへのデータ連携は可能だが、これまでRevit側で修正したモデルの情報を構造計算ソフト側に戻すことはできなかった。

「最近は、双方向連携の流れを確立しようとする動きが広がりつつある」と武居氏は、そうした環境整備に期待と関心を持っている。業界に先駆けて構造システムの一貫構造計算ソフト『構造モデラー+NBUS7』はRevitとのダイレクト連携を整え、双方向のデータ共有を可能にした。武居氏も試行的に使い、その効果を実感した。事務所で使うSS7もRevitとのダイレクト連携環境を開発している。武居氏は「このようにRevitと一貫構造計算ソフトの親和性向上はBIMに取り組む多くの構造設計者が望んでいること」と強調する。

一貫計算からの変換


オートデスクの技術営業部門で構造分野を担当する林弘倫AECソリューションエンジニアは「ダイレクト連携の動きはさらに加速する」と先を見据えている。木造系の構造計算ソフトでもRevitとデータをダイレクト連携する新バージョンがリリースされており、一貫構造計算ソフトとの一体化は今後さらに進む可能性がある。

武居氏は「図面の変更要求が繰り返しある構造設計業務ではその都度、計算をやり直す手間は大きく、Revitと一貫構造計算ソフトとのダイレクト連携によって業務効率が進み、それによって意匠設計者とのコミュニケーション向上も進展していくだろう」と見通す。

Revitと一貫構造計算ソフトとのダイレクト連携によって業務の効率化が進む


BIMソフトベンダーの中でも、オートデスクはAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェイス)を積極的に公開し、他のソフトと連携するための間口を広げている。一貫構造計算ソフトベンダーだけでなく、積算系や設備設計などのソフトベンダー各社もRevitとの連携に積極的に乗り出しているのも、そうしたシステム的な連携のしやすさが要因の1つとしてある。

林氏は「そもそもRevitは、データベースとしての色合いを強く持つソフトであり、その点では一貫構造計算ソフトと同じような思想でシステムが成り立っており、データの共有もフィットしやすい関係になっている」と説明する。設計者にとってはソフト同士の互換性が向上すれば、業務効率は一気に高まる。武居氏は「構造計算や構造図の担当者それぞれにBIMを理解させ、同じ目線から業務できるような取り組みも進めている」と語る。



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