【BIM2021】イズミシステム設計 "設備BIM"でRevit連携を加速 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【BIM2021】イズミシステム設計 “設備BIM”でRevit連携を加速

 イズミシステム設計(東京都新宿区)は、同社の空調負荷計算や省エネルギー計算支援ソフトと、Revitがデータ連携する「for Revit」シリーズの開発を加速している。技術計算に必要なデータをBIMモデルから自動抽出し、計算結果をBIMに反映するなど大幅な業務効率化を実現する。さらに技術計算ソフトのデータとBIMを一元的に連携・管理する「ISPクラウド」を今夏にリリースする予定だ。同社が取り組む“設備BIM”の最前線を追った。

現在のBIM連携ソフトウェアのイメージ図


■拾い・入力作業を大幅に省略
 熱負荷計算ソフト「STABRO」は、もともと設備設計事務所としてスタートした同社が空調負荷計算を効率化するために自社開発したシステムで、一般販売してからは、設備設計に不可欠なソフトとして設備設計者に定着している。

 さらなる業務効率化を実現するため、2015年にRevitとのデータ連携をいち早く実現した「STABRO for Revit」をリリースした。それまで意匠設計図から室や壁、開口などの面積を手作業で拾い、STABRO上で手入力して計算していたが、Revit連携することでBIMモデルから必要なデータを自動抽出して取り込めるようになり、入力作業の省力化を実現した。

 その後、業界のBIM拡大を受け、ラインアップの拡充を進めている。空調・換気の機器選定・機器表作成を効率化する「SeACD(シークド) for Revit」、改正省エネ法を反映した業界初のBIM連携省エネ計算ソフト「M-draw for Revit」を3月と4月に続けてリリースし、BIM連携を加速している。

■空調機器を自動選定
 具体的には、国内基準に基づく熱負荷計算を「STABRO for Revit」で行い、その結果を「SeACD(シークド) for Revit」に取り込む。各室ごとに計算した負荷の大きさに合わせた最適な空調機器や換気機器を自動選定するほか、系統図や機器表も入力情報から自動作成する。鈴木経仁営業部長は「SeACDは主要な換気・空調メーカーの製品マスターデータを搭載している。メーカー横断型の汎用的な活用ができることが強み」と説明する。

 「SeACD for Revit」は、室と機器の関係性を系統図上でドラッグ&ドロップで配置していくという、従来にない画面操作で作業を進められ、選択した機番、形式、風量などが機器表に自動入力される。通常は設備設計者が諸元情報をもとに機器を選び系統図や機器表をCAD等で作成するため、シンプルで分かりやすいと好評だ。

 選定した機器に対応した設備(MEP)ジェネリックファミリをRevitの室上に自動でプロットできる。Revit User Group(RUG)が提供するジェネリックファミリを活用し、形状はジェネリックファミリ、属性情報にSeACDのメーカー値を自動設定して配置が可能だ。BIMインフォメーションを積極的に活用することで新しいワークフロー構築と空調設計業務のプラットフォーム化を目指している。

 「M-draw for Revit」は、モデル建物法の計算に必要な室・外皮・フロア情報などをRevitから自動抽出し、作図の手間を省力化する。さらにAPI連携により「モデル建物法入力支援ツール」とデータ連携して省エネ計算し、省エネ適判・届出に必要な帳票、根拠図面をM-drawで生成・出力する。

■技術計算ソフトを一元管理
 これらの技術計算ソフト群のBIM連携をさらに進化させるため、新サービス「ISPクラウド」の開発を進めている。現在は各計算ソフトがRevitと個別に連携を行っているため、例えばSTABROのデータを更新してもM-drawのデータに反映されないのだが、「ISPクラウド」では各データをクラウド上の共通DBに集約し、データの修正が相互に反映するシステムを提供する。

ISPクラウドを経由した各ソフトの連携イメージ図


 もう1つの注目機能が、ウェブブラウザ型簡易CADシステム「CADECT(キャデクト)」だ。Revit意匠モデルから熱負荷計算、省エネ計算、CFD解析などに適したシンプルなモデルを自動的に取り出し、主に部屋、壁、開口などの間取りや面積で構成する簡易3次元モデルを作成し、各ソフトとデータ連携する。この簡易モデルをプラットフォームに、各技術計算ソフトと相互連携しこれまでの課題の解決を目指す。鈴木部長は「これまでBIMを活用できていなかった方も業務に参加できる。将来的には2次元CADやエクセルのみを使ってきた方にも活用していただきき、業界の設備BIM推進に貢献したい」と見据える。



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