【BIM/CIM未来図~構造設計のいま~】武設計(下)BIMが仕事の流れ変える/ブログで社内のコミュニケーション | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

B・C・I 未来図

【BIM/CIM未来図~構造設計のいま~】武設計(下)BIMが仕事の流れ変える/ブログで社内のコミュニケーション

業務の半分でBIMを使っているという構造設計事務所の武設計(福岡市)は、武居由紀子代表ら4人の設計集団だ。2018年の初トライを足がかりに、少しずつBIMの実績を積み上げてきた。武居代表から任命され、BIMモデラーとして設計業務の中心的な役割を担う菊川由香さんは、数少ない情報を頼りに独学でオートデスクのBIMソフト『Revit』を習得してきた。「当初はRevitを思うように使いこなすことができなかったが、最近は同業と有効な機能の使い方などを情報共有できるまでになった」と明かす。

事務所内でも、BIMについて積極的に情報共有を進めてきた。その有効な手段として取り入れたのが「ブログ」だ。武居氏は「7年前に事務所のホームページをリニューアルしたタイミングでブログをスタートし、社内のコミュニケーションツールとしても有効活用している」と説明する。既に発信数は80回を超え、このうち半分以上がBIMに関連するメッセージだ。

HPにもブログを掲載し、社内外にBIMの活用ポイントなどを積極的に発信


最近はオートデスクの自動化プログラミングツール『Dynamo』の教材リストや、一貫構造計算プログラムからRevitへの変換手順の比較など業務に直結したBIM活用のブログ発信が目立つ。「ブログをきっかけにBIMに興味を持ってもらいたい。私たちがBIMによって仕事の流れ方を変えたように、業務効率化のきっかけとして、BIMにチャレンジしてほしい」と考えている。

BIMのネットワークも広がり始めた。所属する日本建築構造技術者協会(JSCA)の委員会で知り合った2人の構造設計者とは頻繁にBIM関連の情報交換を進めている。BIMを使う上での工夫や悩みなどを共有することで「ともに前に進んでいけたら」との思いがある。

武居氏はBIMの進展を背景に、意匠設計者や設備設計者とも一緒に仕事の進め方を効率化できると考えている。モデルの統合によって意匠設計者とは干渉チェックの早期共有、設備設計者とは配管ルートなどの確認がリアルタイムにできれば「プロジェクト関係者間でBIMのメリットを共有できる。最終的に建築確認申請の部分もBIMで効率化していきたい」と先を見据える。

部材変更から意匠・構造・設備に説明するフロー


従来は、構造図面の不整合を2日かけてダブルチェック体制で念入りに行ってきた。BIMのモデルさえ、しっかり作り込んでいれば、そうした図面チェックの作業時間はなくなり、しかもペーパーレスも実現できる。「スマートフォンの普及で生活のあり方が一変したように、設計業務もデジタル化によって大きく変化する。BIMは私にとって、わくわく感を抱きながら仕事と向き合える手段の1つ」と語る。

業務の半分にBIMを取り入れる同社にとって、既にRevitは欠くことのできない業務ツールとしてなじんでいる。武居氏は「もしBIMが使えなければ、戸惑ってしまう。いずれ全ての構造設計業務でBIMを使うことになるだろう。構造設計者の多くに、時間の使い方や業務のスピード感を大きく変えるBIMの魅力をぜひ味わってほしい」と呼びかける。



【B・C・I 未来図】ほかの記事はこちらから


【公式ブログ】ほかの記事はこちらから



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら