【BIM2022 大塚商会】建材メーカーの"製造BIM"サポート | 建設通信新聞Digital

5月15日 水曜日

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【BIM2022 大塚商会】建材メーカーの“製造BIM”サポート

 建設生産システム全体のBIM活用が拡大し、建材メーカーなど製造業のBIM対応が加速している。「オフィスまるごと」総合ソリューションを提供している大塚商会は、建設業のBIMと製造業の3次元CADを販売・導入支援するマルチサプライヤーとして、両分野を融合した“製造BIM”を強力にサポートしている。それを可能にしているのが業務に精通したCADエンジニアの存在だ。エンジニアを統括するCADソリューション推進課の成田誠次長、多くの製造BIMを支援している大塚商会関西の堀口広太郎PLMサポート課課長、鈴木博貴主任に、同社の支援体制を聞いた。

右から成田次長、堀口課長、鈴木主任



--製造BIMの現状を教えてください
 堀口 BIMの普及が進み、建設業と製造業など異分野が垣根を越えて接点を持つケースが増えました。われわれの西日本エリアも製造BIMのソリューションを提供する機会が増えています。
 鈴木 設計事務所、ゼネコン、サブコンのBIM活用が進み、メーカーなどがBIMパーツの提供を求められるようになりました。私も現在、製造業のお客さまのパーツ作成を支援しています。当社の「BIM/CIM導入支援プログラム」に沿い、業務内容をヒアリングしながらパーツのサンプルをつくりトレーニングするなどニーズに合わせて支援しています。
 堀口 われわれの事業所の強みは、建設業と製造業の営業とCADエンジニアが同じ組織内にいることです。「餅は餅屋」と言うように、専門領域を持つもの同士がタイムリーに連携し、適切にヒアリングしながら支援できるのが特徴です。製造BIMに対しても3次元設計のテクニック、モデル作成などを軸に、メニューをカスタマイズして提供します。
 成田 2023年のBIM/CIMの原則適用、24年の改正労働基準法の適用があり、業務の自動化に向けた要望が増えています。初期教育だけでなく、『Dynamo』を使ってプログラムを組み、業務効率化するサービスの引き合いも多く、21年4月にリリースしてから20社以上にサービスを提供してきました。

--エンジニアのスキルアップの支援体制は
 成田 製造BIMは、製造業と建設業の製品を扱う大塚商会ならではのサービスと言えます。製造業の3次元CADとBIMを融合して何ができるか、PoC(概念実証)を行うことがあります。
 エンジニアのスキルアップでは、製造業のエンジニアにRevitのベーシック講習を2月から6回行っています。これからハンズオン研修も行います。次のフェーズとして、建設業のエンジニアに製造業の3次元CADの研修を7月に提供する予定です。みな技術屋なので、ニーズのある知識やノウハウに関して積極的に取り組んでいます。
 鈴木 パーツ提供の支援では、BIMソフトで作成する以外にも製造用3次元CADのデータを活用してパーツをつくることもできるため、製造系のSEと一緒に動いてお客さまに提案しています。
 堀口 スキルの属人化の壁を乗り超えることができればとても強い組織になると思います。私は実家が建設業を経営し、大学で建築学を専攻したため、お客さまの困りごとの勘所が比較的わかると思います。そこを素早くキャッチし、案件化して、どんどんみんなを巻き込んでスキルアップを目指したいと考えます。
◆地域建設業の支援を加速
--今後の展開は
 成田 施工BIMを深度化する方針です。具体的には当社のパートナー企業であるM&Fが開発した足場の仮設計画に代表される施工BIM向けRevitアドインソフト『MFツールズ』の販売を開始しました。コンクリート打設計画や足場計画をとても簡単に行うことができるアプリとして注目されており施工BIMを加速する起爆剤にしたいと思います。
 オンラインのBIM導入サポートも強化します。地域建設業の導入が増えており、群馬県の河本工業さまの事例でも立ち上げの講習から、疑問点の問い合わせ対応までオンラインで行い、フィードバックする手法が定着しました。
 鈴木 半導体不足などで高性能なワークステーションが不足していますが、当社は仮想デスクトップ上でBIMを活用するAVDサービスを進めています。私は西日本のメイン担当のため、力を入れたいと思います。
 堀口 社長のトップダウン案件として、施工BIMに取り組む地域建設業が確実に増えています。地域建設業では土木と建築の両部門があることが多いのですが、土木測量でドローンや点群計測並びに計測データの3D活用に関心が高いです。いよいよ地域建設業が本格的にBIMに取り組むフェーズに入ったと感じるため、「BIMが当たり前」に使える時代の実現に向けて支援していきます。



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